[論文] アリゾナ大 適応免疫によらないIFNγ放出メカニズム (2012/02/21)
CD8+ memory T細胞は外から侵入したバクテリアなどの抗原を記憶し、再び侵入してきたバクテリアに対しIFNγ(インターフェロンガンマ)を放出して、免疫システムを活性化させるという適応免疫システムを持っていますが、一方、適応免疫によらずIFNγを放出する自然免疫システムも存在しており、アリゾナ大学の研究グループはこの自然免疫によりIFNγを放出するメカニズムについて報告しました。
サルモネラ菌をマウスに感染させる実験では、感染後2時間で自然免疫によるIFNγを検出、この反応はサルモネラ菌の鞭毛に含まれるフラジェリンというたんぱく質によることを明らかにしました。さらに、このフラジェリンは樹状細胞のNLRs (NOD-like receptors)に作用することで、樹状細胞にIL-1βとIL-18を産生させ、このうちIL-18がCD8+ memory T細胞の受容体に結合してIFNγを放出させることがわかったそうです。また、鞭毛の成分であるフラジェリンは、鞭毛をもつ他の菌にも存在するのですが、すべてのフラジェリンでIFNγ放出が起こるわけではなく、たとえば大腸菌のフラジェリンでは反応が起こらなかったため、菌によるフラジェリンの違いを見分けるシステムがあるのではないかとしています。
近年はインターフェロンを抗ウイルス剤、抗ガン剤として投与する治療法がありますが、インターフェロンそのものではなく、フラジェリンを投与して自身のIFNγを活性化する治療法、あるいは一部の自己免疫疾患のようにIFNγが過剰になる疾患に対するIFNγの制御などに応用できる可能性が考えられます。
[論文] ウィスコンシン-マディソン大 呼気を用いた疾患の診断方法 (2012/02/13)
代謝学の研究分野では、2型糖尿病、メタボリック症候群、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)、がんなどの疾患により変化する代謝産物の特徴から、疾患の状態を診断する方法が研究されているそうです。ウィスコンシン-マディソン大学の研究グループは、呼気から糖代謝の異常を調べ、内分泌異常による疾患であるPCOSを診断する方法について報告しました。
研究グループは、PCOSのモデルマウスを用い、13Cでラベルしたグルコースをインジェクト後に呼気と血液から代謝産物を調べたところ、インジェクトから数分で、呼気中CO2の12Cと13Cの比率の変化が起こり、通常マウスと比較してPCOSモデルマウスでは解糖系とペントースリン酸経路の活性化が見られることがわかったそうです。さらには、呼気はCRDS(キャビティリングダウン分光法)により、血液はNMRを用いて、代謝産物を解析したのだそうですが、呼気サンプルは血液サンプルよりも干渉が少なく、感度よく測定できることもわかったそうです。
PCOSは遺伝的な要因の他、インシュリンが関係しているとも言われていますが、はっきりとした原因がまだ分かっていない疾患であるため、早期に発見できれば、PCOSから引き起こされる糖尿病や肥満、心臓病を予防できる可能性があり、今回の診断方法の今後が期待されているとのこと。また、PCOS以外の疾患にもこの方法が応用できるとしており、呼気による検査が血液検査よりも感度が良いとなれば、将来的にはさまざまな疾患の早期発見につながる診断方法として受け入れられていく可能性が考えられます。
[論文] ストワーズ医学研究所 アミロイド様たんぱく質が長期記憶に重要な役割 (2012/02/06)
ストワーズ医学研究所の研究グループがCPEB (Cytoplasmic Polyadenylation Element Binding protein)がつくるアミロイド様のオリゴマーが記憶の形成に重要であることをあきらかにしました。
CPEBはアメフラシを使った記憶のメカニズムの研究においてシナプスのメンテナンスに働き、特にCPEBオリゴマーがシナプスの安定性に関与していることがわかっていたそうです。CPEB様のたんぱく質はアメフラシ以外の多くの動物の脳に存在することから、ストワーズ医学研究所のグループはハエを使ってCPEBがモノマーからオリゴマーに変化する過程を調べたそうです。
Orb2がハエのCPEBにあたるそうなのですが、これには重合しやすいOrb2Aとあまり重合しないOrb2Bの2つのisoformがあり、Orb2Aのプリオン様ドメインに変異を入れたところ、Orb2のオリゴマーが形成されにくくなり、Orb2A変異ハエの記憶は24時間までは保持されるものの、正常のハエが記憶できる48時間後までは保持できなかったことから、Orb2Aがオリゴマーの形成と長期記憶に重要であることがわかったそうです。ハエが記憶を保持できる時間についてはオスのハエのメスに対する求愛行動抑制から測定した、と書いてありました。オスのハエはメスに振られすぎると、失恋のショック(?)で求愛行動をしなくなるのだそうですが、その失恋の記憶がどのくらい続くのかを長期記憶として測定しているようです。アメフラシに記憶のメカニズムが存在することも初耳でしたが、ハエの失恋の記憶が実験の指標になっている点も興味深いです。
CPEBがアミロイド様のオリゴマーを形成することは記憶の形成に重要ですが、一方でアルツハイマー病やパーキンソン病などの疾患につながるアミロイド様オリゴマーも存在しており、研究グループはCPEBに関する知見が、疾患につながるアミロイド制御へのヒントになるのではないかとしています。
[論文] カリフォルニア大 核内受容体コリプレッサーに2型糖尿病治療の可能性 (2012/01/30)
核内受容体コリプレッサー(NCoR)の2型糖尿病への効果についてカリフォルニア大学の研究グループが報告しました。
2型糖尿病の特徴としてはインスリン抵抗性、組織の炎症、脂肪組織の機能障害、肥満があげられますが、脂肪細胞に特異的なNCoRのノックアウトマウスでは、肥満になるにも関わらず耐糖能が改善され、肝臓、筋肉、脂肪細胞でのインシュリン感受性が高まり、さらには脂肪組織のマクロファージの湿潤と炎症も抑制されることを明らかにしました。メカニズムとしては、核内でPPARγと結合するNCoRが無くなったことで、PPARγが常に活性化状態になり、脂質生成が亢進するため、インシュリン感受性が高まり、さらにマクロファージによる炎症も抑えられるとしています。脂質生成が亢進したとしても、糖尿病を抑えられるならば、糖尿病から引き起こされる様々な疾患の予防につながるので、治療に用いられる可能性があるのではないでしょうか。
PPARγは、別の観点から創傷治癒効果が角膜で検討されており、こちらはPPARγを過剰に発現させることによって、PPARγを活性化させ、ファイブロブラストやマクロファージの活性化を抑制することにより、瘢痕形成を抑えながら創傷治癒を促進するというもの。どちらもPPARγの活性化をターゲットにしているものの、片方はPPARγのパートナーであるNCoRを減らす方法、もう一方はPPARγ自体を増やす方法と、アプローチの違いがあるのが興味深いです。
[論文] テキサス大学サウスウエスタン医学センター 運動が体に良い理由の一つはオートファジーだった (2012/01/23)
テキサス大学サウスウエスタン医学センターの研究グループが、なぜ運動が体に良いのかについてひとつの根拠を明らかにしました。研究グループはオートファジーという生体の機能に注目し、これが運動により活性化することを発見したそうです。
オートファジーのマーカーとしてGFP-LC-3を発現させたマウスに、トレッドミルでの運動をさせたところ、30分で筋肉や心臓の細胞でGFP-LC-3のスペックルが増え、オートファジーの活性化が起こることを明らかにしました。さらに、運動によるオートファジー活性化が起こらなくなるBcl-2欠損マウスを使った実験では、細胞へ糖を取り込むAMP kinaseの活性化が起こらないために、せっかく運動しても血中の糖レベルが高いまま、正常マウスよりも走り続けることができなくなることがわかったそうです。
そこで糖代謝とオートファジーの関係を調べるために、正常マウスとBcl-2欠損マウスに高脂肪の食事を与えて2型糖尿病の状態にしたのち、高脂肪の食事を与えながら8週間の厳しい運動をさせたところ、どちらのマウスも体重が減ったものの、正常マウスでは細胞の糖取り込み機能が回復して糖尿病が治っているのに対し、Bcl-2欠損マウスでは血中の糖レベルが高いまま、糖代謝の異常は改善されないことがわかり、2型糖尿病の改善には運動によるオートファジーの活性化が重要であることを明らかにしました。
運動は体に良いということが科学的に証明されましたが、それでも、運動の続かない人にとってどのくらいの励みになるのかは少し疑問です。ただ、この研究グループの一人はこの結果に影響をうけてトレッドミルを始めたそうです。マウスに効果があるのだから、私にも効くはず、というコメントが載っていました。
[論文] Georgetown大学 ROCK阻害剤を使った初代培養技術 (2012/01/16)
組織から細胞を取り出し培養する初代培養の技術は細胞生物学や医学分野では欠かせないものです。しかし、種類によっては、細胞を取り出して培養すると生体内での形態や機能が失われてしまい、細胞ベースの研究に使うことができない場合があり、研究者の悩みの種にもなっています。
Georgetown Universityの研究グループはROCK阻害剤(Y-27632)とフィーダー細胞を加えることで、組織から取り出した正常細胞とガン細胞をconditionally reprogrammed cell の状態で培養することが可能になったことを報告しました。
その培養方法では、細胞の形態はstem-like phenotypeになるそうなのですが、針で採取した少しの組織から5,6日で2 x10^6細胞まで増やすことができるとのこと。なぜROCK阻害剤にこんな効果があるのかは少し不思議ですが、ROCK阻害剤とフィーダー細胞を加えるくらいならば比較的簡単に試せそうに思います。
この方法はガン治療薬開発だけではなく、ガン患者からガン組織と正常な組織を少しずつ採取してそれぞれの細胞を培養し、投与する薬の種類や濃度をその細胞で比較することで、患者さんに対して正常な細胞へのダメージを少なくして、より効果的にガン細胞を抑える治療法を選択することにも用いられるとしています。遺伝子を調べて医療に応用するオーダーメイド医療の研究がすすめられていますが、患者自身のガン細胞を培養して効果のある治療薬を選択する方法は、より治療の現場に即した方法として発展していく可能性があるのではないでしょうか。
[論文] Weizmann Institute 抗体でMMPを抑え込む技術 (2012/01/10)
抗体は細菌やウイルスから体を守る免疫システムに欠かせない存在であり、近年では抗体医薬としての用途が注目されていますが、一方でなんらかの原因で産生した自己抗体が引き起こすクローン病やリウマチ性関節炎のような完治の難しい自己免疫疾患も存在します。Weizmann Instituteの研究グループは抗体を使ってmatrix metalloproteinase (MMP)を不活性化する技術を報告しました。
MMPは細胞外マトリックスを分解するタンパク質分解酵素ですが、自己免疫疾患や腫瘍の転移に関与することで知られ、阻害剤の研究がすすめられているそうです。研究グループは生体に存在し、MMP阻害剤として機能するtissue inhibitors of metalloproteinases (TIMP)に注目して、これに似た化合物の合成を試みたそうなのですが構造が複雑でうまくいかなかったため、次に、TIMPと同様にMMPの活性部位へ結合する抗体を作る方法を考えたそうです。MMP9の活性部位のみの断片をマウスへ投与したところ、TIMPに似た、TIMPと同様の働きをする抗体(metallobodies)がマウスで産生されることがわかり、このmetallobodiesをクローン病のモデルマウスに投与すると、症状の改善が見られることもわかったそうです。
Weizmann InstituteのプレスリリースにTIMPとmetallobodiesがMMPに結合するモデル図がのっているのですが、metallobodiesもTIMPと同様にがっちり結合してMMPのやや内側にある活性部位をふさいでいるのがよくわかります。受容体などのファーマコフォアモデルを作製し、ドッキングスタディをするのはリガンド探索によく使われる手法ですが、実際にそこで得られた候補化合物を試してみると、効果が得られない、毒性が高いなどの問題が出てくることもしばしばです。今回の報告のように、活性部位に対する抗体を作ってみるという方法も検討する価値があるように思います。そして、自己免疫疾患に対する治療法が自己抗体とも言えるmetallobodiesとは、発想の転換の仕方がすごいと思います。
[論文] Hawaii大 心臓肥大により心筋細胞からVEGFが放出されていた (2011/12/20)
血管新生を引き起こすことで知られるVEGFですが、心筋細胞の機能維持にも関与しているそうです。急性心筋梗塞の患者さんで血清中のVEGFが増加すること、また冠状動脈閉そく後の心筋機能回復にVEGFが働いていることが知られています。
そこでHawaii大の研究グループは心臓肥大のモデルを作り、心筋の細胞からVEGFが放出されるメカニズムを明らかにしました。報告によると、ラットの心筋細胞を引き伸ばすmechanical stretchという誘導方法でVEGF分泌量を調べたところ、引き伸ばす刺激を与えた細胞から通常の3倍のVEGF分泌がわかったそうです。さらにはNFkBの阻害剤でVEGF分泌増加が抑制されたことから、NFkBの活性化によりVEGFの発現が増えていることも明らかにしました。心筋細胞を引き伸ばす刺激がどのようなシグナルとして細胞に伝わってNFkBが活性化するのかかなり気になります。一方で、心筋梗塞など心筋機能の低下による心筋細胞の低酸素状態がVEGFを増やす可能性もあるような気もします。
もうひとつ気になるのは、心臓肥大の患者さんでVEGFによる黄斑変性症のリスクが増えたり、あるいはがんの治療にVEGF抗体を使うことが心筋細胞へのダメージにつながることはないのかという点です。今回の報告はラットですが、ヒトでの血清中VEGF量の比較などからそのリスクを推測できる可能性がありそうです。
[論文] UCLA大 脳の老化にはBDNFの減少が関与していた (2011/12/12)
神経の成長因子には、NGF、BDNF, NT-3などいくつか種類があり、さらにはPACAPなどのペプチドも神経の伸長に関係するといわれています。種類が多いゆえに神経伸長の機能解明へ道筋も複雑化している印象があり、また、多様な視点で研究されているので全貌を把握するのも大変です。EGFやIGFで比較的簡単に育つ上皮細胞とは違うのだなと考えてしまいます。
UCLAの研究グループの報告によれば、若齢ラットと老齢ラットの海馬を比較すると老齢ではBDNFの量が減っており、このことがシナプス可塑性に影響していることがわかったそうです。これは加齢によるヒストンアセチル化の減少が原因で、BDNF遺伝子のヒストンアセチル化も減り、結果としてBDNFの量が少なくなっていたそうなのです。そこで、ヒストンデアセチラーゼの阻害によりBDNFとその受容体TrkBを増やしたところ、歳をとった海馬の細胞のシナプス可塑性が回復することが確認され、さらにはTrkBのアゴニスト7,8-dihydroxy flavoneによっても同様の効果が得られたということです。
加齢による海馬の機能低下は、ヒストンアセチル化の減少がもとで起こっていたということで、ヒトでも同様の現象が起こっているならば、BDNFのコントロールによって物忘れが防止できるようになるかもしれません。また、運動により血中のBDNFが増え、記憶力が良くなるという報告もあるので、記憶力保持のための指標に用いることもできそうです。
[論文] Buenos Aires National Academy of Medicine ガン転移を抑制するアミノ酸 (2011/12/05)
ガンはlocalized(限局性)、metastasis(転移性)の2つにわけることができ、限局性のガンが転移性に変化してしまうことがガンの治療を難しくしているといわれています。Buenos Aires National Academy of Medicineの研究グループはこの転移性ガンへの移行がmeta-チロシンとortho-チロシンにより抑制されることを報告しました。
転移性ガンへの移行にはT-cellに関連した経路や、血清の成分が関係しているといわれており、研究グループはこの血清の成分のうち、meta-チロシンとortho-チロシンがマウスのモデルにおいてガンの成長抑制に効果があること、さらには転移性ガンへの移行も抑制することを明らかにしたそうです。また、この抑制効果はmitogen-activated protein/extracellular signal-regulated kinase pathwayの阻害とSTAT3の不活性化によるものであることも確認しているとのこと。アミノ酸でERKが阻害されてしまうとは、少し怖い気もしますが。
現在のところ転移性ガンへは主に化学療法が用いられますが、副作用がつきもので、思うような結果が出ない場合があり、それに対して血清の成分であるmeta-チロシンとortho-チロシンならば毒性が少ないと予想されることから、ガン転移を抑制する治療薬として可能性があるのではないかとしています。一時期はアミノ酸単体ではなく、3アミノ酸からなるトリペプチドに新たな機能があるとして注目されたこともありましたが、アミノ酸にもまだ未知の機能があるのかもしれません。
[論文] スタンフォード大 補体系の異常が変形性関節症を引き起こしていた (2011/11/25)
軟骨の摩耗により起こると考えられていた変形性関節症に、補体系が関与していたことをスタンフォード大の研究グループが報告しました。
研究グループは変形性関節症患者の滑液などのサンプルから関節部分で補体の異常な活性化を発見し、膝関節半月板切除による変形性関節症のモデルでC5抗体による中和で変形性関節症の症状を抑えることから補体の関与を明らかにしました。さらには、膜侵襲複合体であるMACが軟骨細胞に結合することにより関節を攻撃し、炎症因子や分解酵素の発現を誘導して炎症を悪化させていることもわかったそうです。
体を細菌などから守るシステムである補体系が、自分の体を攻撃してしまうために、炎症が起こっていたということで、変形性関節症は自己免疫疾患に似た状態とも言えると思います。論文にあるようにC5抗体で変形性関節症の症状を緩和することは可能かもしれませんが、完全な治療となると、補体の制御系がもう少し明らかになる必要がありそうです。
変形性関節症のほかに補体の関与が疑われている疾患としては、アルツハイマー病や加齢性黄斑変性症があり、加齢性黄斑変性症では大塚製薬とAcucela社が補体の活性化を抑える新薬を開発中です。補体は古くから知られている免疫システムですが、疾患への関与から近年注目されているようです。
[論文] CureFAKtor Pharmaceuticals FAK阻害剤がすい臓がんの進行抑制に効果 (2011/11/22)
Focal adhesion kinase (FAK)というと接着に関係したキナーゼ、というイメージですが、細胞接着のほかにも細胞増殖やアポトーシス抵抗性など多様な機能をもつ分子であることが知られ、近年では腫瘍に発現することから、がんの進行や転移への関与が研究されています。
CureFAKtor Pharmaceuticalsの研究グループが2011 AACR-EORTC-NCI Molecular Targets and Cancer Therapeutics Conferenceで発表した報告によると、CFAK-C4というFAK阻害剤をすい臓がんのマウスへ投与した実験で、がん細胞の成長を40-60%抑えることができたそうです。
このFAK阻害剤は腫瘍血管系に発現し腫瘍の転移などに関与するVEGFR3とFAKの結合をブロックするという作用機序をもっており、腫瘍に特異的に発現するVEGFR3に注目した点が、すい臓がんの進行抑制という大きな効果として表れたのではないかと思います。それから、腫瘍の転移にもVEGF関連の分子が関与していることに少し驚くとともに、糖尿病などで新しい血管が必要な場面を除いて、やはりVEGFと名前がつく分子はヒトに害を及ぼす働きしかしていないのだと思ってしまいました。だからこそ新薬開発には欠かせないターゲットでもあるのですが。
すい臓がんは自覚症状が出にくいため発見が難しく、他のがんと比較して治療が難しいと言われています。治療薬としてはジェムザール(イーライリリー)やティーエスワン(大鵬薬品工業)が知られていますが、どちらもDNA合成阻害剤であるため副作用の問題があることから、今回のFAK阻害剤のようにがん細胞により特異的に働くような新薬の登場が待たれます。それにしても、社名にFAKを冠するCureFAKtor Pharmaceuticals、FAK阻害剤だけで会社を作ってしまうなんて、夢があっていいなと思います。
[論文] UCSF大 すい臓セロトニンとセロトニン作動性転写因子Pet1の機能を解明 (2011/11/10)
一見関係のなさそうな二つの物事でも、つきつめてみるとつながりが見えてくることがあります。UCSF大の研究グループはセロトニンを産生する脳のニューロンと、インシュリンを産生するすい臓のislet細胞を比較して、ホルモンを産生する細胞として似ている点を研究してみたところ、すい臓のislet細胞でもセロトニン産生に必要な遺伝子のセットが発現していることを発見し、さらに、セロトニン作動性の転写因子であるPet1の発現を制御するホメオドメイン転写因子が、islet細胞とニューロンで同じNkx2.2であることも明らかにしました。
すい臓のislet細胞でもセロトニンを産生しているという新たな知見が得られたということも重要なのですが、脳のニューロンとすい臓のislet細胞、ふたつは細胞の種類は違っていても、セロトニンを産生するという機能については同じ遺伝子でまかなっていたということで、生物は複雑にみえて、単純にして合理化している部分もあるようです。
また、研究グループはPet1がすい臓beta細胞のインシュリン遺伝子の制御因子に結合することと、Pet1欠損マウスではグルコース耐性能が十分に機能しないことが実験で明らかになったことから、糖尿病治療の手段としても使えるのではないか、としています。
糖尿病治療薬の新薬開発では武田薬品の2型糖尿病治療薬TAK-875の臨床第3相試験開始や、日本ベーリンガーインゲルハイムと日本イーライリリーの2型糖尿病治療薬トラゼンタ(製品名リナグリプチン)の製造販売承認取得など活発な動きがあるようです。ただ、治療薬といっても、今のところ根本的な治療ではないので、患者さんは毎日薬を飲み続けなければならないという問題があり、今後は根治療法を目指す必要もあるのではないかと思います。
[論文] カルフォニア大 Aβによる細胞膜ポアとCa流入 アルツハイマーに新説 (2011/10/27)
アルツハイマー病というと不溶性Aβ(アミロイドベータ)の蓄積が神経のダメージにつながるとされてきましたが、最近ではそれよりも小さなサイズの可溶性Aβが細胞外からのカルシウム流入を促進してしまうために、シナプスの信号が途絶え、さらには細胞死を導いているという考え方があるようです。
カリフォルニア大の研究グループがこの小さなサイズの可溶性Aβ(Aβオリゴマー)がどのようにして細胞外からのカルシウム流入を起こすのかを調べたところ、Aβオリゴマーは内在性のチャネルを活性化してカルシウム流入を引き起こすほかに、Aβオリゴマー自身がカルシウムを透過するポアを細胞膜上に形成して大量のカルシウムを流入させていることがわかったそうです。
研究グループはオプティカルパッチクランプという方法で、細胞膜表面の一個ずつのポアにカルシウムが入ってくる様子をモニターしたと書いていました。細胞の種類によりますが、カルシウムのモニタリングは難しい実験という印象があります。わたしは顕微鏡下で検出する方法を主にやっていましたが、カルシウムが流入して細胞が光るのが見えればよしとしていたレベルだったので、細胞膜表面の一個ずつのポアから入ってくるカルシウムをモニターするなんてマニアック過ぎるなと感じてしまいました。でも、そこまで厳密に検出ができなければ今回の発見はなかったかもしれません。
アルツハイマーには細胞内カルシウムストアの制御がうまくいかなくなることも関係している、という報告もありますが、カルシウムストアから出てくるカルシウムの濃度を考えると、細胞をコントロール不能にしているのはAβオリゴマーが形成するポアによる細胞外からのカルシウム流入が第一の原因となっているのではないかとわたしは思います。アルツハイマー病で起こっていることがひとつ明らかになったことで、Aβオリゴマーに結合して不活性化しカルシウム流入を防ぐ方法や、カルシウム流入による細胞死を防ぐ方法など、治療に対するアプローチが増えてくるのではないでしょうか。
[論文] ジョージア大学 肺高血圧症の発症メカニズムからCalpain阻害剤の新たな用途を発見。 (2011/10/21)
TGF-betaは薄毛の原因因子として、さらには血管新生や瘢痕形成への関与など、多くの疾患との関わりが明らかとなっています。そして、ジョージア大学の研究グループの報告によるとTGF-betaは肺高血圧症にも関与しているようなのです。肺高血圧症は喫煙や大気汚染などの影響により、肺の血管内腔が狭くなって血圧が上昇する疾患で、心臓への負担が懸念されており、また、最近よく目にするCOPDと併発する場合もあるといわれています。
研究グループは肺高血圧症のモデルで見られるTGF-betaの活性化にCalpainが関与していることを手掛かりに、Calpain阻害剤がTGF-betaの活性化を抑え、肺高血圧症で見られる肺動脈平滑筋細胞でのコラーゲンの増加を抑制することを明らかにしました。つまり、喫煙などにより、肺動脈平滑筋細胞が低酸素状態になると、Calpainが活性化してしまい、それが引き金となってTGF-betaによる肺動脈平滑筋細胞の構造変化により、肺高血圧症を引き起こしていたのです。
論文のなかで印象的だったのは、肺高血圧症の患者さんのサンプルでCalpainの活性化をSBDP (Calpainで切られたSpectrinの断片)の免疫染色で見ているところではないでしょうか(論文のFig. 15)。
Calpainの活性を直接測るのはなかなか面倒ですが、その基質であるSpectrinの断片SBDPを検出するのであれば、固定した組織の切片さえあればできるので、比較的簡単に調べられ、患者さんの肺でCalpainの活性化が起こっているのかがわかります。診断に用いるのに有用であることもそうですが、免疫染色に使えるくらいの良い抗体となれば、使ってみたいという研究機関がたくさんありそうに思います。そして、Caplainといえば、アルツハイマーや白内障治療薬のターゲットとして阻害剤の開発が期待されています。今回CalpainからTGF-betaへのシグナルカスケードが明らかになったことで、肺高血圧症やそのほかのTGF-beta関連の疾患へ向けてCalpain阻害剤の用途が増えてくるのではないでしょうか。
[論文] レスター大 嫌な思い出が残らない?Lipocalin2と記憶の関係を解明。 (2011/10/17)
レスター大の研究グループがLipocalin2というたんぱく質が、樹状突起スパインの構造を変えることにより記憶の状態をコントロールしていることを報告しました。
研究グループは精神的なストレスでマウスの海馬にLipocalin2が増えることに注目。海馬ニューロンの培養細胞にLipocalin2をかけたら、樹状突起スパインのアクチンに働いて、スパインの成熟を阻害することを発見したそうです。Lipocalin2があると、ストレスで成熟するスパイン(嫌な記憶)ができにくくなるということのようです。また、Lipocalin2欠損マウスでは、ストレスで誘導されるスパインの密度が上がることからも、Lipocalin2の働きがスパインの形成に関与していることを確認していました。
Lipocain2は何か脳で働いていそうだ、ということで研究されていましたが、海馬でスパインの形成に関与していることが今回わかったようです。Lipocalinは160~180個のアミノ酸からなる比較的小さなタンパク質で、私はLipocalin1のほうを少し実験で使っていたことがありました。Lipocalin1もLipocalin2同様分泌タンパク質で、Lipocalin1は涙の中にある成分なのですが、機能としては涙の中の油と作用して、涙の層の保持に働いていそうだ、ということぐらいで、涙の中の成分としては存在感の薄いタンパク質でした。同じファミリーのタンパク質でも、種類によって働きが全くことなる一つの例です。
しかし、Lipocalin発現の制御系は似ている可能性があるので、もしLipocalin2の発現制御について海馬ニューロンが培養しづらくて実験しにくいとなれば、Lipocalin1の発現メカニズムがヒントになることもあるかもれません。もしLipocalin2を治療に用いるとしても、Lipocalin2を脳にinjectionするわけにはいかないと思うので、発現メカニズムの解明も必要になってくるのではないかと思います。
[論文] サンフォード・バーナム医学研究所 褐色脂肪細胞を増やしてエネルギー消費を促進するOrexin (2011/10/16)
最近はメタボリックシンドロームから一歩進んで、肥満が引き起こす疾患の連鎖をメタボリックドミノと表現することがあります。以前機会があって、メタボリックドミノについての講義を聞いたとき、肥満は炎症と似た状態である、という説明に驚がくしたのを覚えています。そんな怖い肥満の解決につながりそうな分子がサンフォード・バーナム医学研究所の研究グループから報告されました。
研究グループは、脳で産生されるOrexinというホルモンに注目し、欠損マウスでは食事量が多くないのに肥満化し、それが食事による褐色脂肪細胞の熱産生が減るためであることを発見しました。さらには、Orexin欠損マウスでは生まれつき褐色脂肪細胞の発達が悪く、成人になっても褐色脂肪細胞の熱産生によるエネルギー消費が悪いために肥満化することを明らかにしたのです。
Orexinはオーファン受容体のリガンドとして単離され、摂食と覚醒に関係するホルモンとして研究されてきました。それが今回の研究により胎児期の褐色脂肪細胞の分化に関与し、その後の肥満化を左右する重要な分子であることがわかったということなのです。
生まれる前に褐色脂肪細胞の状態が決まってしまうならば、成人後肥満が発覚してからでは何もできないような気もしますが、あなたはOrexinレベルが低いために褐色脂肪細胞が少ないのですよ、と教えてもらえれば、自分が肥満化した理由が納得できそうな気もします。ただし、成人後でも褐色脂肪細胞の前駆細胞が残っていれば、後からOrexinを足して褐色脂肪細胞を増やすことができるかもしれません。現在の減量療法は食欲を減らす方法が多いのですが、成人後でも褐色脂肪細胞をコントロールできるようになれば、新たな減量療法として注目されるのではないでしょうか
[論文] ミズーリ大 脊髄性筋萎縮症では神経と筋肉の会話が遮断されていた。 (2011/10/04)
ミズーリ大の研究グループが脊髄性筋萎縮症(spinal muscular atrophy , SMA)における神経と筋肉の関係について報告しました。
報告によれば、SMAでは神経におけるキネシンの活性は変わらないものの、輸送されるvesicleの量が減るために、筋肉へ信号を伝えられないことを明らかにしたそうです。体の動きには神経と筋肉の複雑なコミュニケーションが必要なため、神経から筋肉に信号を伝えるどこかのポイントに障害があると、体を動かすことができなくなってしまいます。SMAでは、信号を運ぶ道具(キネシン)ではなく、信号(vesicle)が減ることが筋肉を動かすことができなくなる原因となっているのではないか、ということなのです。モータータンパク質は1分子レベルで検出されるほど詳しく研究されており、チューブリンの上を歩くキネシンやアクチンの上を歩くミオシンをとらえた顕微鏡写真が話題になったこともありました。また、vesicleについても運ばれて細胞膜に融合し、中身が放出されるメカニズムについて神経細胞や腺細胞で研究が進んでいます。それぞれの研究からわかってきていることを組み合わせれば、vesicleとキネシンをつなぐたんぱく質や、その活性を調節する分子が絞り込めそうに思います。もしかしたら開口放出したvesicleの再利用がうまくいっていない可能性もあるかもしれません。
今回の報告は患者数の少ない難病でも、モデル作製がうまくできれば、分子生物学的なアプローチが解明の一歩となるひとつの例だと思います。治療に使えるようなターゲットが見つかるのはまだ先のことですが、ホーキング博士を長年悩ませている病気が治る時代が来ると思うと技術の進歩と研究者の努力はすごいと思います。
[論文] BG Medicine Galectin-3が心不全を進行させる? (2011/09/27)
BG Medicineのプレスリリースによると、galectin-3が心不全の疾患において重要であることを複数の学会で報告したそうです。学会では、心不全の患者においてgalectin-3の血中レベルと心不全の程度に相関があり、galectin-3を持たない動物モデルで心不全の進行を抑えられること、galectin-3に結合して機能を失わせる阻害剤(N-acetyllactosamine :Gal3i))で動物モデルでの心不全の進行が抑えられること、を報告しており、BG Medicineではgalectin-3をターゲットとした心不全の新薬開発に力を入れているとのことです。
ガレクチンは、植物のレクチン同様糖たんぱく質にベタベタくっつくという特徴があるだけで、ECMにくっついて接着促進でもしているのかな、くらいのイメージしかありませんでしたが、実はそれだけではなくサイトカイン様の働きをして炎症細胞の活性を調節し、アポトーシスにも関与するなど、多彩な機能がわかってきているようです。
今回は、何故か心不全でgalectin-3が増えて、それが心不全の進行に関係しているという裏付けがとれたということで、疾患への関与は間違いなさそうですが、しかし、血中のgalectin-3が増える背景が見えていないような気がします。たとえば、炎症細胞で産生されたgalectin-3が増えるということならば、それは体のどこかで炎症が起こっている、というシグナルであるはずで、その原因を治療すれば、わざわざgalectin-3の阻害剤を投与するなど対処療法的なアプローチをしなくてもよいように思うのです。
そうは言っても患者さんは待っていられないので、galectin-3阻害剤はこのまま開発ステップにのっていくのでしょう。ただ、Galectin-3を診断薬として用いるのはなかなか有用だと思ったら免疫生物研究所が抗体の供給元としてBG Medicineと契約していました。良い抗体があれば儲かる時代がきているのかもしれません。
[論文] インペリアル大 体内にひそむガンを検知&撃退する新技術 (2011/09/20)
ガンの検査では、全身のガンを調べられるPETのような便利な検査がありますが、マーカー、あるいは精度の問題で疑陽性や疑陰性が出てしまうことがあり、まだ技術の進歩が必要な部分があるようです。
インペリアル大の研究チームは、神経内分泌ガンの細胞の表面にソマトスタチン受容体(sstr-2)が多く発現することに注目し、これに対するアンタゴニストをいくつか設計し、18FでラベルしてPETで見たところ、肝臓への非特異的な集積をせず、sstr-2に高いアフィニティーを示すものが得られたことを報告しました。このアンタゴニストにより、PETを使ってガンの居場所をより正確に検知することが可能になり、またラベルする物質を変えれば、ガンを特異的に攻撃する治療薬として開発できる可能性があるとのことで、今後の展開が期待されます。
ここで、ひとつ疑問に思ったのは、ガン細胞は何故ソマトスタチンを欲しがるのか、という点です。ソマトスタチンは神経終末で細胞内カルシウムの上昇によって放出され、それが放出した細胞に反応して、分泌をストップさせるというネガティブフィードバックの機構を持ちますが、ソマトスタチン受容体を増やしたところで、その細胞の分泌機能を止める以外にあまり利点がないように思います。何かの原因でソマトスタチン量が減り、細胞内に移行するソマトスタチン受容体が減った結果、表面に沢山局在する数が増えたということなのでしょうか。
ただ、近年になってソマトスタチンに神経保護に働く分子の活性をあげる機能があることや、アルツハイマーの疾患でソマトスタチンの量が減ることが報告されるなど、ソマトスタチンの新しい機能が明らかとなってきているため、ソマトスタチンの機能解明によりガン細胞にソマトスタチン受容体が増える理由や、ガン細胞の制御につながる知見が得られる可能性があります。それにしても、たった14アミノ酸のポリペプチドがガン細胞検知に役立ち、アルツハイマー治療のカギになるなど、やはり分子生物の世界は奥深いと感じます。
[論文] 山形大 がん幹細胞からがん細胞分化へのきっかけとなる分子を解明 (2011/09/13)
近年の研究により、がん細胞の種類として幹細胞様の働きをするがん幹細胞が存在することが明らかとなっています。このがん幹細胞が無限に自己複製し、その一部が分化してがん細胞化することにより、がん細胞の増殖がおこるとされています。また、がん幹細胞はがん細胞よりも抗がん剤や放射線に耐性があるために、治療によって完全に除けなかったがん幹細胞からがんの再発や転移に発展してしまうという問題が指摘されており、がん幹細胞を標的とした治療法が研究されています。
山形大の研究グループは脳腫瘍のひとつである膠芽腫のがん幹細胞(CSLCs)に注目し、FoxO3aという分子ががん細胞への分化と、腫瘍形成抑制へ関与していることを報告しました。研究グループはPI3K/AktのパスウェーとMEK/ERKのパスウェーの2つを阻害すると、膠芽腫CSLCsのがん細胞への分化が促進され、腫瘍形成抑制につながるという結果から、この2つのパスウェーがどのように関与しているのかを調べ、AktとERKによりリン酸化されるFoxO3aという分子を同定しました。FoxO3aはForkhead転写因子のひとつで、通常は核内に局在して標的遺伝子の発現を亢進し、リン酸化により転写活性を失います。研究グループは、膠芽腫CSLCsのAktとERKのパスウェーを阻害すると、FoxO3aのリン酸化阻害により転写活性が回復し、これにより膠芽腫CSLCsの分化が促進され、腫瘍形成抑制になると説明しており、AktとERKによるリン酸化部位のない変異体のFoxO3でも同様の結果が得られたことからも、膠芽腫CSLCsの分化にはFoxO3aがキーとなって働いていると結論づけています。
AktやERKは様々なたんぱく質をリン酸化するキナーゼであるため、これらをターゲットとすることは現実的ではありませんが、膠芽腫CSLCsの分化に特異的に働くFoxO3aが明らかとなったことから、FoxO3aをターゲットとした膠芽腫治療薬や、がん細胞とがん幹細胞を見分けるマーカーの開発など、さまざまな展開が期待されます。
[論文] Rice大学 天然に近い合成コラーゲンの開発 (2011/09/06)
Rice大学の研究チームは、天然のコラーゲンと同様に繊維化し、ハイドロゲル化する合成コラーゲンについて報告しました。
動物細胞の培養ではコラーゲンやファイブロネクチンなどの細胞外マトリクス(ECM)を培養プレートへコーティングし、細胞が接着しやすくすることが必要な場合が多いのですが、動物組織由来のECMにはグロースファクター、あるいはウイルスなど含まれるために、実験モデル作製の障害となる場合がありました。さらに、ECMは細胞が増殖し、マイグレーションや伸展するために重要であるため、損傷部位へのECMの移植という治療法がとられていますが、上記と同様コンタミネーションの問題があるようです。
研究グループでは、天然のコラーゲンが自己の活性で3重ヘリックスを形成してナノファイバー化し、最終的にはハイドロゲル化する、という特性を合成のコラーゲンに付与するため、コラーゲンに特徴的なプロリン-ヒドロシキプロリン-グリシンの繰り返し配列をリシンとアスパラギン酸の水素結合により補完することで、コラーゲンが繊維化する活性を安定化しました。これにより、天然のコラーゲンと同じように3重ヘリックスを形成、ナノファイバー化し、数百ナノメートルの長さにすることに成功し、さらに水を含んでハイドロゲル化したということです。また、ハイドロゲル化した人工コラーゲンは天然のコラーゲンと同様にコラゲナーゼにより分解したことを確認しています。生体にコラーゲンを移植した場合、最終的には生体内のコラゲナーゼで分解され、新たに生合成されるコラーゲンに置き換わる必要があるため、コラゲナーゼによる分解が天然のものと同様であることは重要であると思われます。
合成コラーゲンについては多く研究されており、実用化されているものや特許が取得されているものもありますが、天然コラーゲンと同様の特性をもつ合成コラーゲンについての報告は今回が初めてのようです。移植など、医療現場での応用には安全性の問題をクリアにする必要がありますが、動物ではなく細胞をベースとした実験が増えてきている研究開発の分野においても利用の場面が多数あると考えられます。
[論文] Duke大 慢性ストレスによるDNA損傷のメカニズムを解明 (2011/08/31)
Duke大の研究グループは慢性ストレスによるDNA損傷にβ-arrestin-1が関与していることを報告しました。慢性ストレスは消化性潰瘍や循環器疾患などを引き起こすことで知られ、また疫学的な研究により、DNA損傷に関与していることが明らかになっています。慢性ストレスによるDNA損傷は、老化、腫瘍形成、流産を促進するとも言われているものの、どのようなメカニズムでDNA損傷が起こるのかはわかっていませんでした。
研究グループはβアドレナリン作動薬の長期刺激によるDNA損傷が、ガンの抑制やDNAの保護に働くp53の減少によることを明らかにしました。これは、作動薬で活性化したGsによりリクルートされるβ-arrestin-1という分子が、p53の働きを抑制するMDM2の活性化を助けることにより、p53の分解を促進するためで、このことはβ-arrestin-1のノックアウトマウスにβアドレナリン作動薬を与える実験において、p53が保持されることを確認しています。慢性ストレスにより、β-arrestin-1がp53を分解する経路を活性化してしまうという分子メカニズムが明らかになったことで、DNA損傷により引き起こされる疾患の予防や治療に役立てられる可能性があります。ストレスをためるのは良くない、ということが分子生物学的に証明されたことになりますが、そうは言っても改善が難しい場合もありそうです。
p53についてはガン抑制の視点からの研究が進められており、最近では九州大のグループが核タンパク質のひとつであるPICT1という分子がp53の抑制に働いており、PICT1欠損細胞ではp53の活性化が見られ、またPICT1の発現の少ないガンの患者では予後が良かったことからPICT1の制御がガンの抑制に重要であると報告しており、p53を中心に関連の分子に注目が集まっているようです。
[総説] C. albicansのバイオフィルムと適応戦略 (2011/08/25)
PLoS BiologyにC.albicansのバイオフィルムと生活環についての紹介記事がありました。
C.albicansはカンジダ症の原因菌。酵母の一種でこの菌による感染部位でのバイオフィルム生成が臨床現場では問題となっています。
このC.albicansですが99年にMTL遺伝子が発見され接合が起こる事が確認されています。さらに特徴的なのは、この酵母の接合が単純な二倍体の減数分裂を介した接合ではなく、W(white)/O(opaque)という形態変換に引き続いて起こる、複雑な接合システムからなっている事です。37℃以上(感染宿主の体温付近)ではW株が維持され、それ以下になると極々一部のホモMTL(a/aまたはα/α)細胞がO株に変換し、このO株細胞がW株細胞と接合が可能になります。
さて、バイオフィルムとMTLの関係ですが、W株はホモであってもヘテロであってもバイオフィルム形成能を持つことが判っています
このうちW株ホモのバイオフィルムは接合フェロモンの放出によって形成が誘導され、さらにO株との接合の場として機能するために接合フェロモンの濃度を維持する装置として働いていると考えられています。一方、W株ヘテロのバイオフィルムでは接合フェロモン合成は抑制されていることいることが明らかにされています。このことから以下の2つの仮説が提案されているようです。
① W株ヘテロ型細胞ではW株ホモ型細胞では、それぞれ違った目的でバイオフィルムを合成している。
② W株ヘテロ型細胞ではW株ホモ型細胞とは異なる代謝経路がバイオフィルムの合成を制御している。
①の仮説検証のため、それぞれのバイオフィルムの厚さ・外部ストレスに対する耐性などが比較されました。ここでは抗真菌薬のフルコナゾールと白血球に対する耐性が調べられました。その結果ヘテロ型ではやはり外部ストレスに対する耐性が強い事が確認され、W株ヘテロ型細胞が防御手段としてバイオフィルムを合成していることが示唆されました。一方のW株ホモ型は防御手段としてというより、やはり接合の場としてバイオフィルムを利用している事が同じく示唆されています。
②の仮説はヘテロ型細胞のバイオフィルムがRas1/cAMP系により制御されているのに対してホモ型がこれとは異なるフェロモン系により制御されているという確証が得られています。
細菌ではクオラムセンシング、接合、バイオフィルム合成の関連性が広く研究されていますが、同じようなメカニズムが真菌にもあるようですが、細胞の形態によって発動するバイオフィルムの合成パスウェイがそれぞれ異なるというのは遺伝子の進化のメカニズムとしてとても興味深いですね。これがC.albicansまたは真菌独自のシステムなのか、あるいはクオラムセンシングと強く結びついた、生物に広く維持されている汎用性の高いシステムなのか、今後明らかにされるかもしれません。
MIT・Lincolin研究所 細胞のアポトーシスに注目した抗ウイルス薬 (2011/08/22)
MITのLincolin研究所の研究グループは、Double-stranded RNA Activated Caspase Oligomerizers (DRACO)を利用した抗ウイルスのシステムを報告しました。DRACOは細胞の自己防衛機能に注目し開発されたもので、ライノウイルス、H1N1インフルエンザウイルス、ポリオウイルスなど15種類のウイルスに対して効果があることを確認したそうです。
一般的に、ウイルスが感染した細胞では、ウイルスのコピーであるdouble-strand RNA (dsRNA)を産生するようになります。しかし、これは本来ヒトや動物の細胞では産生しないものなので、dsRNAに結合してそれ以上複製させないように働くタンパク質があるそうです。研究グループではこのタンパク質を応用できないかと考えたのですが、多くのウイルスではこのタンパク質の働きをも止めてしまうため、この方法は断念したようです。
次に考え出したのが、冒頭に名前のあったDRACOのシステムで、dsRNA結合タンパク質(PKRまたはRNase L)に、caspaseを活性化してアポトーシスを誘導するタンパク質(apoptotic protease activating factor 1 あるいはFLICE activated death domain)を融合させたものを用い、dsRNAにDRACOが結合することにより、もう一方のアポトーシス誘導タンパク質の働きで感染した細胞にアポトーシスを起こさせて、dsRNAの産生を止めるというものです。研究グループではヒトと動物の細胞でこのDRACOの効果を確認しており、さらにH1N1インフルエンザウイルスに感染させたマウスにDRACOを用いたところ、大幅に感染を食い止めることができたということです。DRACOに用いる配列の選択や加える濃度の設定、細胞内へ移行させるタグの安全性など、検討する点は多くありますが、他の動物でも効果が確認できればヒトの臨床試験へのステップアップを考えているということで、新しい抗ウイルス薬となるのか期待されます。
現在インフルエンザの治療薬としてはタミフル(ロシュ)、リレンザ(GSK)などのノイラミニダーゼ阻害薬が主流です。これらは、インフルエンザウイルス表面にあるヘマグルチニンと宿主細胞表面のシアル酸の結合を維持することで、細胞内で増殖したインフルエンザウイルスが細胞外に放出されるのを阻害します。しかし、ノイラミニダーゼを持たないC型のウイルスには効果がなく、また近年ではタミフル耐性を獲得したインフルエンザウイルスが報告されていることからも、異なる作用機序の薬剤が望まれており、DRACOのウイルスの種類に関係なくウイルスの増殖を抑えられるという特徴は開発していく上で強みになると考えられます。
Cytomedix Platelet-Rich Plasma Gelを利用した創傷治癒システム (2011/08/18)
CytomedixはPlatelet-Rich Plasma Gelを利用したAutoloGelシステムが創傷の治療に効果があることを報告しました。
創傷とは身体が障害され、皮膚、皮下組織、筋肉などの連続性が遮断された状態を指し、創傷がそのままでは感染症にかかりやすくなり、重症化すれば入院、さらには切除しなくてはならない場合もあり、早期の治療が重要です。しかし、30日かかっても治癒しない慢性創傷という状態になる場合もあります。糖尿病や血管の障害が原因で生じた潰瘍や褥瘡がそれにあたり、血管の働きが悪くなっているために、治癒機能が低下して慢性創傷となっていると考えられています。
Cytomedixでは創傷の患者から採取した血液からPlatelet rich plasma (PRP)を単離してゲル状にしたものを、創傷部位にのせることで、ゲルに含まれるグロースファクター、サイトカイン、ケモカインなどの創傷治癒に必要な因子により、創傷の自然治癒を促進するというAutoloGelシステムを考案し、実際に慢性創傷患者へ用いたところ、96.5%の患者で症状の改善が見られたということです。このシステムでは患者由来のplasmaを用いることで免疫反応を避け、またPlatelet rich plasmaにより生体に近い濃度・種類の創傷治癒因子を創傷部位に用いることができるという特徴があります。
創傷の治療方法は、創傷の治癒過程の研究により、消毒薬で消毒してガーゼをまくといった方法から、消毒は最低限にして創傷部位を湿潤させて自己の修復機能を促進する湿潤療法へとシフトしており、同じように自己の修復機能を促進するAutoloGelシステムも治療法のひとつとして受け入れられていくのではないかと考えられます。
自己の成分を治療に用いる例としては自己血清の点眼があります。これはドライアイの患者で角膜に障害がみられる場合に、自己血清を点眼することで、血清に含まれるグロースファクターにより、障害を受けた角膜の再生を促進するというもので、角膜の障害を創傷とすれば、AutoloGelシステムと似たような状況で創傷の修復が起こっていると考えられます。
プレスリリース
Advances in Skin & Wound Care誌へのリンク
[論文] UCSF大 吸血コウモリを用いた熱知覚システム解明へ (2011/08/05)
一般的にコウモリは超音波のような音を発して音の反射で獲物を見つけるといわれていますが、UCSF大の研究グループは、吸血コウモリが鼻の表面に熱感受性に特化した三叉神経の神経終末をもち、獲物の皮膚の下を流れる血液の温度を赤外線として探知していることを発見しました。
研究グループはこの赤外線感知に特化した神経細胞の遺伝的な背景に注目し、吸血コウモリとヒトや動物との関係を調べたところ、43℃以上の熱やカプサイシンなどで刺激されるTRPV1(transient receptor potential cation channel subfamily V member 1)という受容体と似ていることがわかりました。研究グループではこの熱に反応する受容体がTRPV1のスプライシングによるもので、後根神経節ではなく、三叉神経節で多くがスプライシングされていることから、熱を知覚する検出器として働いていると示唆しており、この研究を進めることにより三叉神経痛のような神経疾患における鎮痛剤の開発につながると期待しています。
TRPV1の疼痛治療薬への応用としては、カルシウム脱感作の仕組みを使ったカプサイシンの塗り薬が検討されていました。TRPV1はカルシウムチャネルの一つでカプサイシンや熱の刺激により細胞内にカルシウムを取り込みますが、そのカルシウムが細胞内のカルモジュリンと結合してTRPV1を不活性化することで、刺激がそれ以上伝わらなくなるという現象を利用したものなのですが、カプサイシンの刺激による痛みが発生してしまうため、あまり実用性がなかったようです。そのほかにも、TRPV1の作動薬を利用した疼痛治療薬が複数開発中で、日本ではTRPV1の作動薬のひとつが大日本住友製薬からマルホに導出されています。さらに、アンタゴニストによる治療薬も複数開発中であり、多くの製薬会社がTRPV1をターゲットとした新薬開発に注目していることがわかります。
[論文] アスペルギルスの低酸素適応と病原性の関係 (2011/08/01)
In vivo Hypoxia and a Fungal Alcohol Dehydrogenase Influence the Pathogenesis of Invasive Pulmonary Aspergillosis (PLoS Pathogens)
重症化すると致死性の高い呼吸器疾患としてアスペルギルス属真菌の感染によるものが知られています(メルクマニュアル:アスペルギルス症)そこらじゅうどこにでもいるA.fumigatusによる日和見感染症で、やっかいな真菌感染症の一つです。
今回の研究ではこのA.fumigatusの感染モデルマウスの肺をまずは1H-NMRメタボロミクスを用いて解析しました。
驚くべきことに、解析の結果、感染肺組織からエタノールを検出。この発見を元に彼らは“侵襲性肺アスペルギルス症にはターゲット組織の低酸素状態が関与しているのでは”と仮説を立てました。(つまり低酸素状態の組織で、A.fumigatusがアルコール発酵による呼吸をしていると仮説立て)
低酸素検出試薬を使うと、実際にモデルマウス肺の感染部位には低酸素領域があることを確認。
さらにアルコール発酵能と病原性の関連を検証のため、ΔalcC、ΔpdcA破壊株を作製しアルコール非産生タイプのA.fumigatusによる感染モデルマウスと正常株感染モデルマウスを比較しました。すると、予想に反してどちらのタイプも生育速度に差はなかったものの、アルコール非産生タイプの個体では炎症反応が上昇していました。
結果、A.fumigatusの感染によって肺組織で低酸素部位が発生すること、それによりA.fumigatusの代謝が変化しアルコールを産生するらしいこと、さらにこの感染部位でのアルコール産生はどうやら病原性の発現にも関与していることがわかりましたが、アルコール産生と病原性の因果関係(相関ではなく)の解明にについてはいまいちわかりませんでした。
ちなみに、低酸素と炎症反応について、最近よく研究されはじめたようで、HIF-1という低酸素誘導性の転写因子が関与することが知られています。HIF-1は今後の抗癌剤ターゲットとしても有望視されているようで、今回の真菌感染の低酸素適応のメカニズムが明らかにされれば、恐らく有望な抗菌ターゲットも見出されるでしょうね。
ロゼッタゲノミクス 血中microRNAを利用した心不全診断法開発へ (2011/07/29)
ロゼッタゲノミクスのニュースリリースによると、心臓の収縮機能不全の患者血液中のmicroRNAを同定する実験により健常者と比べて4つのmicroRNAの発現レベルが特異的に上昇することが明らかにし、これらをマーカーとした心不全診断の方法を検討しているということです。
microRNAとはnon-coding RNAの1種であり、多くの遺伝子やたんぱく質の発現制御に関与しています。近年になってmicro-RNAがエキソソームという小胞に包まれた状態で細胞外に分泌されるということが明らかとなり、血中でも安定な状態で運ばれているということがわかりました。がんの疾患では血中のRNA量が増えることが知られており、血中の核酸の研究から、数十種類のmicroRNAががん疾患に関与することがわかり、バイオマーカーとして、がん診断への応用が検討されています。実際に特定のmicroRNAを疾患診断用のバイオマーカーとして、あるいは遺伝子治療に用いるとして多数の特許が出願されており、microRNAに対する注目度の高さがわかります。
心不全(heart failure)は、構造的あるいは機能的な原因により心室への血液の出入りが損なわれる疾患で、日本には推定160万人、アメリカでは500万人もの患者さんがおり、早期の発見と治療が必要な疾患であることから、血液のように容易に採取できるサンプルから心不全の診断が可能になれば、重症化する前の発見、治療が可能になると考えられます。また、microRNA運搬の役目をはたしているエキソソームについては、siRNAのような核酸医薬をはこぶデリバリーシステムとして使えないか研究がされており、オックスフォード大のグループでは、マウスを用いた実験でエキソソームを用いる方法により脳に特異的にsiRNAを到達させたことを報告しています。免疫反応を減らすために自己由来の樹状細胞を採取、エキソソームの膜タンパク質とニューロン特異的に発現するRVGというペプチドを融合させたタンパク質を発現させ、ここから精製したエキソソームにGAPDH siRNAをエレクトロポレーションしたものを静脈内投与したところ、脳のニューロン、マイクログリア、オリゴデンドロサイトへ特異的に運ばれ、GAPDH siRNAによるノックダウンを確認できたということです。RVGのように組織特異的に運搬されるようなタグが見つかれば、エキソソームを用いたsiRNAなどの核酸医薬の可能性が広がると考えられます。
中外製薬 「アクテムラ」皮下注製剤の関節リウマチに対する有効性確認 (2011/07/22)
中外製薬によると、ヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体「アクテムラ」の皮下注製剤の関節リウマチへの効果が第III相臨床試験で確認されたそうです。
関節リウマチは世界中で約2100万人が罹患しているといわれ、全身の関節における滑膜の炎症を特徴とするこの疾患は、自己免疫疾患のひとつであることがわかっています。自己免疫疾患とは、通常は作られないはずの自分の体の成分に対する抗体(自己抗体)が何かのきっかけで作られ、自分の体が攻撃されることにより起こる疾患で、関節リウマチの場合は抗CCP抗体が原因のひとつであることがわかっているそうです。関節リウマチの治療には、痛みや炎症を抑える消炎鎮痛薬やステロイド、免疫抑制剤のメトトレキサートがありますが、近年では炎症のメカニズムに注目した関節での炎症を制御するための抗体医薬品が続々と開発されています。
炎症を引き起こすサイトカインのひとつであるTNFαに着目したものでは、TNFαのレセプターへの結合を阻害することにより炎症を抑えるというメカニズムで、TNFαモノクローナル抗体のインフリキシマブ「レミケード(セントコア/田辺三菱製薬)」、TNFαレセプターの一部を免疫グロブリンと融合させたエタネルセプト「エンブレル(ファイザー/武田薬品)」などが開発されています。しかし、TNFαを阻害するだけでは炎症を抑えられない場合があり、同じ炎症性サイトサイトカインであるIL-6に対してレセプターへの結合を阻害する「アクテムラ」、炎症細胞であるT細胞の働きそのものを抑制するアバタセプト「オレンシア(ブリストルマイヤーズ)」など、阻害箇所の異なる抗体医薬品が複数開発されており、治療への選択肢が広がっています。
また、関節リウマチ以外の自己免疫疾患でも同じような炎症反応が起こっていることが考えられるため、疾患における炎症発生の機序が明らかになれば、他の自己免疫疾患への適応が広がる可能性が考えられます。
ブリティッシュコロンビア大 糖尿病網膜症のための新規マグネティックDDS (2011/07/15)
ブリティッシュコロンビア大のグループはφ6mm x ~500μmのマイクロリザーバーに抗がん剤のひとつである微小管脱重合阻害剤のドセタキセル(DTX)を内包し、マグネチック PDMS (polydimethylsiloxane) メンブレンで封をした装置を用い、外から磁場を与えることで、マグネチックメンブレンにあいた穴からDTXを一定量放出させる、というドラッグデリバリーデバイスを開発しました。このデバイスはバッテリーを必要とせず、実験では35日間にわたってDTXを放出することができたと報告しており、研究グループでは目の裏側にこのデバイスをインプラントする方法で糖尿病性網膜症治療への応用を検討しているということです。
網膜疾患に対する投薬においては、点眼薬や眼軟膏といった眼科特有の投薬法では網膜への移行性が非常に低いために高濃度の投与による副作用が懸念され、また全身投与の場合でも血液網膜関門により薬物移行が制限されてしまうという問題があります。これらの問題を解決するためのドラッグデリバリーシステム(DDS)の方法として、硝子体内投与や硝子体内インプラント、強膜プラグなどが研究、開発されていますが、決まった濃度の薬剤を決めたタイミングで放出させるという装置はこの研究グループによるものが初めてのようです。
糖尿病性網膜症は、糖尿病腎症・神経症とともに糖尿病の3大合併症のひとつで、日本では成人の失明原因の第一位となっています。糖尿病により血糖の高い状態が続くことで網膜の細い血管が損傷をうけ、血管の変形やつまりを起こし、網膜が虚血状態となると、血管新生を起こして硝子体内への出血から視野を邪魔し、さらに増殖組織といわれる線維性の膜が出現することにより網膜剥離を起こすことがあります。糖尿病性網膜症の治療には血管新生を起こす可能性のある網膜の虚血部位をレーザーで凝固させる治療法がとられますが、正常な網膜の一部も犠牲となり、術後の視力が落ちる場合があるというリスクがあり、このデバイスによるDTXの投与が可能になれば、レーザー手術によらず異常な細胞の増殖を抑制して症状の進行を抑えられる可能性があります。また、このドラッグデリバリーデバイスは、糖尿病性網膜症だけではなく、他の網膜疾患にも応用できる可能性があり、さらには網膜以外にも必要な濃度の薬剤を到達させることが難しい場所への利用も期待されます。
ノバルティスファーマ・小野薬品工業 体に貼るタイプの認知症治療薬が国内で初めて承認、発売へ (2011/07/08)
ノバルティスファーマの「イクセロンパッチ」と、小野薬品工業の「リバスタッチパッチ」がアルツハイマー型認知症の治療薬として認可され、7月に発売されるそうです。いずれもアセチルコリンエステラーゼ阻害剤であるリバスチグミンという薬効成分を用い、経皮吸収型製剤であるパッチ剤を1日1回貼付することによりアルツハイマー型認知症患者さんの記憶力改善、日常生活維持に効果を発揮するというものです。
パッチ剤は経皮吸収により一定の薬物濃度を維持でき、急激な血中濃度上昇がなく、消化管での代謝の影響を受けにくいという特徴があります。また、パッチ剤は貼っていることが目に見えるため、服薬が簡単に確認できること、万が一副作用が生じた場合も、剥がすことによってそれ以上薬物が体内に入ることがないという利点もあります。
ノバルティスのプレスリリースによれば、リバスチグミンのカプセル剤とパッチ剤の比較において、投与スケジュールを守りやすい、使い勝手が良い、日常生活の中で支障となり難いなどの理由から、カプセル剤よりもパッチ剤の方が好ましいという回答がアルツハイマー型認知症患者さんの介護者から得られたそうです。また、目標用量のリバスチグミンのパッチ剤投与は、有効性は最高用量のカプセル剤を投与した場合と同等であり、吐き気や嘔吐といった症状は3分の1程度に留まっているということです。
リバスチグミン自体の特許はもう切れており、リバスチグミンのパッチ剤の特許については、最初の特許が2012年8月に切れるということで、海外ではジェネリック医薬品が準備されつつあるようです。製剤の処方を変えることにより副作用の軽減、患者さんやその介護者のQOL向上につながったというひとつの例であり、薬の開発における製剤化検討についてはこれからも様々な発展が期待されます。
アルツハイマー型認知症治療薬については、1999年に承認されたエーザイ/ファイザーのドネペジル「アリセプト」が国内唯一の治療薬でしたが、昨秋以降第一三共のメマンチン「メマリー」、ヤンセンファーマのガランタミン「レミニール」が相次いで承認されており、リバスチグミンも含めて認知症治療薬の選択肢は広がっています。
理化学研究所 真菌類を異物として認識する仕組みを解明 (2011/06/28)
理化学研究所は、自然免疫系がβグルカンの3重らせん構造を異物として認識する仕組みを解明しました。
一般的にはβグルカンは哺乳類には存在せず、真菌類や植物の細胞壁に多く存在しており、3重らせん構造を形成することが知られています。今回の研究では、この3重らせん型βグルカンに特異的に結合するパターン認識受容体「βGRP/GNBP3」の立体構造を解析することで、自然免疫における異物認識の仕組みが明らかになりました。
今後、免疫調整剤の設計や真菌症診断への応用が期待されています。
京都大学発ベンチャー 二プロと新規医療用接着剤の共同開発を発表 (2011/06/24)
京都大学発ベンチャーである株式会社ビーエムジーは、二プロと新規医療用接着剤の共同開発することを発表しました。
従来は血液製剤のフィブリン糊が多く用いられていましたが、この度開発を進めている新規接着剤は非血液・非動物由来のもので、実用化が期待されています。
東京大学 ヘリウムガスが石英ガラスに溶解することを発見 (2011/06/20)
東京大学の佐藤友子特任研究員らは、石英ガラスをヘリウム中で加圧すると、ヘリウムが石英ガラス中の間隙に大量に溶解することを発見しました。
通常、高圧下では石英ガラスの間隙がつぶれてしまうため、ガスの溶解は極端に減少すると考えられていましたが、今回の結果は従来の定説を覆すものです。
プレスリリース
Nature Communications誌へのリンク
理化学研究所 一夜漬け勉強よりゆっくりな学習の方が効果的である仕組みを解明 (2011/06/20)
理化学研究所は、一夜漬けによる勉強(集中学習)より、一定期間休憩を取りながら行う学習(分散学習)の方がより有効であるという仕組みを解明しました。
集中学習より分散学習の方が記憶が長続きすることは、心理学では分散効果として良く知られていましたが、分子レベルでの解明は進んでいませんでした。
今回の研究では、学習の記憶が脳のどの部位に保持されるかを確かめ、集中学習の記憶は小脳皮質のプルキンエ細胞、分散学習の記憶は小脳核の神経細胞に保持されていることが明らかとなりました。また、休憩中に小脳皮質のプルキンエ細胞で作られる何らかのタンパク質によって「記憶痕跡のシナプス間移動」が生じ、記憶を固定化していることがわかりました。
産業技術総合研究所 半導体の微細化に役立つ新技術を開発 (2011/06/14)
産業技術総合研究所は、このたび、半導体の微細化に役立つ新技術を開発したと発表しました。
極微細MOSトランジスタでは、ソース・ドレイン接合領域の寄生抵抗が顕在化するため、精度よくソース・ドレイン接合を形成できる技術を開発することが課題となっていました。
この度、NiSi2結晶成長の性質を利用した金属ソース・ドレイン接合の位置制御技術により、ナノメートルレベルで制御可能となりました。今後、16nm世代以降の半導体開発に役立つものと期待されています。
NEDO グリーンセンサーネットワークシステムの開発に向けて共同研究先を決定 (2011/06/09)
NEDOは、「グリーンセンサ・ネットワーク技術開発プロジェクト」の共同研究先を決定しました。
センサネットワーク技術は、人やモノ・周辺環境を認識し、状況に即したサービスを提供可能であり、低炭素社会の実現に大きく寄与できる点で注目を集めています。
センサーネットワークの開発では、①使用されるセンサデバイスの無線通信機能、②自立電源機能、③低消費電力性能を実現することが要求されており、このような革新的なセンサを実現することにより、10%以上の省エネ効果が見込まれます。
産業技術総合研究所 新規の細菌を分離培養に成功 アルマティモナデテスと命名 (2011/06/06)
産業技術総合研究所は、水生植物であるヨシの根圏環境に生息する新規の細菌の分離・培養に成功し、その菌の名前をアルマティモナデテスと命名しました。
16S rRNAを用いた遺伝子分類の結果、細菌界ではもっとも上位の、門レベルでの新規細菌であることがわかりました。
本発見は、門レベルでの新規微生物の発見という学問的な観点だけではなく、水生植物の根圏に生息する微生物が環境浄化に寄与するメカニズムを解明する手掛かりとしても注目されています。
栄研化学 体外診断薬キットの新発売を発表 (2011/06/01)
栄研化学株式会社は、新たな結核菌診断薬キット「Loopamp結核菌郡検出試験キット」などの発売を発表しました。本年度の6月1日より発売を開始します。
結核は世界最大の感染症であり、一度克服したと思われがちですが、いまだに多くの人が命を落としています。
本キットは診断を一時間ほどで行うことができ、結核菌の早期発見に役立つことが期待されます。
近畿工業・産総研 ハードディスクドライブからネオジム磁石をリサイクル (2011/05/26)
近畿工業株式会社と独立法人産業技術総合研究所は、使用済みハードディスクドライブからネオジムやジスプロシウムなどのレアアースを含有するネオジム磁石を脱磁せずに選別する技術を開発しました。
レアアースを多く使用するネオジム磁石は、HDD、モバイル機器から家電、ハイブリッド車、電気自動車など、様々なモーターに使用されています。しかしながら、レアアースは輸入に強く依存しており、国内での原料の確保の観点から、リサイクルの要望が高まっていました。
今回開発した技術は、位置センサーと磁気センサーを組み合わせることにより、ネオジム磁石の格納部分を瞬時に非破壊で検知することができます。その後、検知したボイスコイルモーターを非磁性鋼製のポンチで切り抜くことで、効率よくネオジム磁石部分を回収することが可能になりました。
協和発酵バイオ cis-4-ヒドロキシ-L-プロリンの商業生産開始へ (2011/05/23)
協和発酵バイオは、アミノ酸誘導体であるcis-4-ヒドロキシ-L-プロリンの効率的な工業的製法を確立し、2011年上半期中には商業生産を開始すると発表しました。
従来、プロリンに水酸基を入れる反応は非常に困難で、保護基の導入・立体反転・脱保護と煩雑なプロセスを必要としていました。今回、早稲田大学の木野邦器教授が見出した新規酵素を用いることで、1段階の反応でL-プロリンに直接立体・位置特異的に水酸基を導入することが可能となりました。
武田薬品工業 スイスNycomed社を1.1兆円で買収 (2011/05/20)
武田薬品工業は、スイスNycomed社を完全子会社化することを正式に発表しました。買収額は96億ユーロ(株式価値+純負債ベース)、日本円で約1.1兆円で、武田薬品工業としては過去最大の買収額となります。
今回のNycomed買収により、新興国での販売力を強化し、またNycomed社の有する慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療薬「Roflumilast」を獲得することによる大きな効果が期待されます。
三菱化学 植物からの1,4-ブタンジオール製造に関して共同研究開発へ (2011/05/11)
三菱化学は、植物から1,4-ブタンジオールを製造するため、植物原料を用いた発酵プロセスの設計に豊富な経験を有する米国Genomatica社と戦略的提携をすることを発表しました。
今後、2025年までに既存の化石原料のうち20%を植物原料化することを目指します。
武田ベンチャー投資会社 再生医療を手がける米ベンチャー企業へ投資 (2011/05/10)
武田薬品工業の100%子会社である武田ベンチャー投資会社は、再生医療に関わる米国のベンチャー企業であるFate Therapeutics社に株式投資しました。
Fate Therapeutics社は、幹細胞調節に関する高度な技術を保有する企業として期待されており、「バイオテクノロジー分野における2010年Top 10 Innovator」の一つに選ばれています。
東芝メディカルシステムズ 米国企業を買収 医療画像ソリューション事業を強化 (2011/05/02)
東芝メディカルシステムズ株式会社は、米国で医療画像ソリューションを手がけるVital Images, Inc.の買収を発表しました。総額約273百万米ドルの現金の買い付けにて買収を行う予定です。
この買収により、医療分野でニーズが伸びてきている医療画像ソリューション分野の強化が期待されます。
武田薬品工業 中国医薬特区に販売子会社を設立 (2011/05/02)
武田薬品工業株式会社は武田(中国)投資有限公司の100%出資の販売子会社として、江蘇省泰州市の特区である医薬特区地域(China Medical City)に武田薬品(中国)有限公司を設立しました。
同地域の医薬ハイテク産業向けのインフラを活用し、飛躍的に成長する同国での事業基盤を整えることができると期待されます。
メルシャン株式会社 医療・化学品事業を三井物産へ譲渡 (2011/04/26)
キリンホールディングスの連結子会社であるメルシャン株式会社は、同社が営む医薬・化学品事業を会社分割の方法で分割し(エムビーエス株式会社)、三井物産に譲渡する旨を発表しました。
これにより、メルシャンはワイン・酒類事業に集中することになります。
武田薬品工業・Samyang Corporation RNAi医薬のDDSに関する共同研究契約を締結 (2011/04/20)
武田薬品工業と韓国のSamyang社は、RNAi医薬のドラッグデリバリーシステムの技術構築を目的とした、共同研究契約を締結したと発表しました。
Samyangの保有するバイオポリマー技術を応用し、新たなRNAi医薬のDDSの開発を目指します。
ツムラ 中国の大学と産学連携で甘草の新栽培技術を発明 (2011/04/19)
株式会社ツムラは、中国医薬保健品股份有限公司と北京中医薬大学と共同研究により、甘草の新栽培技術を確立し、特許登録をしたと発表しました。
従来から甘草の栽培化に向け研究が進められてきましたが、日本薬局方に適合するように、甘草の主成分であるグリチルリチン酸の含有量を2.5%以上とすることが大変困難でした。
今回の共同研究では、様々な栽培条件を検討した結果、グリチルリチン酸の含有量が3.5%を超える栽培に成功し、中国において、特許権の登録を行いました。
東京大学 鉄系超伝導に関する新しいメカニズムを発見 (2011/04/11)
東京大学大学院工学系研究科の下志万貴博特任助教と、東京大学物性研究所の辛埴教授は、超高分解能レーザー光電子分光装置を用いて、超伝導現象を生じさせる新しいメカニズムを発見しました。
超伝導は金属を一定の温度に冷却すると電気抵抗がゼロになる現象で、電子が対になって運動することでそのような現象が引き起こされます。また、超伝導電子対を形成するメカニズムとして、これまで結晶格子の振動や電子スピンが知られていました。
このたびの発見では、電子軌道に由来する新しいメカニズムも超伝導現象に関与している可能性が示されました。
ポーラ化粧品 ベトナム進出へ (2011/04/08)
株式会社ポーラは、ベトナムにおいて、化粧品やヘアケア品の販売を現地の代理店を通じて開始すると発表しました。
ベトナムの高い成長性と富裕層増加を睨んでの進出だと考えられます。
常盤薬品・神戸学院大学 大豆イソフラボンが皮膚の保湿効果を示すことを証明 (2011/04/01)
ノエビアグループの常盤薬品と神戸学院大学は共同で、イソフラボン類が、ヒト表皮細胞の賦活効果・アルギナーゼ活性促進効果や、ヒト真皮細胞の賦活効果・ヒアルロン酸産生促進効果を有することを示しました。
これにより大豆イソフラボン類がヒト表皮、真皮の両者において優れた保湿効果を示し、化粧品として有効である可能性が示唆されました。
栄研化学 LAMP法のライセンス契約をOptiGene Limitedと締結 (2011/04/01)
栄研化学株式会社はLAMP法の実施権許諾に関するライセンス契約を、英国のOptiGene Limitedと締結したと発表しました。
LAMP法はPCR法にかわる新しい手法として栄研化学で開発され、遺伝子検査などの応用へ期待されています。
理化学研究所 ケイ素を使った新環状化合物合成に成功 (2011/03/22)
理化学研究所は、4つのケイ素原子からなる新しい環状化合物「テトラシラシクロブタジエン」の合成に成功したと発表しました。
この度、かさ高い立体保護基「EMind」を用いることでテトラシラシクロブタジエンの結晶を単離することができました。また、X線解析の結果、テトラシラシクロブタジエンではπ電子が局在化してプラスとマイナスに電荷が分かれるため、ひし形を形成して安定化することが分かりました。
宇部興産 韓国に現地法人を設立 (2011/03/22)
宇部興産株式会社は、韓国に同社の開発・営業を行う、現地法人の設立を発表しました。
同国における半導体、電気・電子機器、自動車、造船業界の需要の増大をにらんでの進出と考えられます。
三井化学 医療用接着剤を新開発 (2011/03/15)
三井化学株式会社は、手術時に用いる医療用接着剤を新たに開発したと発表しました。
従来は手術後の傷の縫合には、縫合糸やステープラーが用いられていましたが、傷口を目立たなくするなどの目的から、医療用接着剤のニーズが高まっています。
武田薬品工業 Intra-cellular Therapiesの統合失調治療薬の販売権を取得 (2011/03/08)
武田薬品工業 Intra-cellular Therapiesの統合失調治療薬の販売権を取得
このたび、武田薬品工業により米Intra-cellular Therapies社が開発を進めている、ホスホジエステラーゼ1阻害による統合失調治療薬の全世界での独占的な開発・販売権が取得されたことが発表されました。
Intra-cellular Therapie社は、ノーベル賞受賞者であるロックフェラー大学のPaul Greengard博士が設立者に名を連ねる、中枢神経疾患領域に特化したバイオ医薬品企業です。
東北大 新規の酵素複合体による細胞記憶形成課程を発見 (2011/03/08)
細胞の分化状態の安定維持には、DNAとヒストンからなるクロマチン構造が寄与していることが知られています。このクロマチン構造を調節している機構がヒストンのメチル化修飾です。
今回東北大を中心としたチームは、ヒストンにメチル基を供給する基質の代謝に関連する転写因子のプロテオミクスを行い、メチル基の供給元であるS-アデノシルメチオニンを合成する代謝酵素が、ヒストンのメチル化を行うメチル化酵素と転写因子と複合体を形成していることを初めて明らかにし、この複合体をSAMITとしました。今後、SAMITとアミノ酸代謝、エピゲノムの関連が明らかにされたことで、新たなアプローチで癌の発症メカニズム等が解明されることが期待されます。
この研究成果はMolecular cellの3月4日号に発表されます。
東京大学 忠犬ハチ公の死因を調査 (2011/03/02)
東京大学大学院農学生命科学研究科で保管している忠犬ハチ公のMRIによる断層撮影と、組織採取による顕微鏡撮影を行い、肺と心臓に悪性腫瘍の増殖巣が確認されました。
これまでの死因はフィラリア症とされていましたが、悪性腫瘍も死因の一つであることがわかりました。
首都大学東京 小学生の英語処理における基本パターンを解明 (2011/02/28)
首都大学東京は、光トポグラフィを用い、小学生500人が英語と母国語を聞いた時、どのように脳が処理するかの違いを調べました。
その結果、小学生が新しい言語(英語)を学ぶときには、音声の分析が優先的に行われ、その後その音が意味を持つ「言語」へ序所にシフトする可能性が高いという事がわかりました。
本研究結果は今後の児童英語学習における一助になる事が期待されます。
片倉工業 カイコの組み換えタンパク質研究事業をシスメックスに譲渡 (2011/02/28)
片倉工業株式会社は、カイコを用いた組み換えタンパク質生産・研究事業を、シスメックス社に譲渡する事を発表しました。
同社が行っている、訪花昆虫事業、植物用殺菌剤事業は、従来どおり継続される模様です。
タカラバイオ 遺伝子発現の制御を簡便に行える試薬を開発 (2011/02/22)
タカラバイオ株式会社の子会社である、クロンテック社は、遺伝子発現の制御を簡便に行う事のできる、研究試薬を開発したと発表しました。
本試薬では細胞透過性を付与した転写活性化因子を直接細胞に導入し、遺伝子発現の制御を行えるようです。
武田薬品工業 2型糖尿病治療薬「SYR-322」の中国における臨床第3相試験を開始 (2011/02/17)
武田薬品工業株の子会社である武田グローバル研究開発センター(アジア)株式会社は、このたび2型糖尿病治療薬「SYR-322」の中国における臨床3相試験を開始したと発表しました。
本臨床試験は、中国における本薬の承認申請データとして用いる予定です。
東北大学 ピロリ菌の増殖を抑えるオリゴ糖の大量合成方法を開発 (2011/02/15)
東北大学はピロリ菌の増殖を抑えるオリゴ糖の大量合成方法を開発したと発表しました。
合成ターゲットとなるオリゴ糖はN-アセチルグルコサミンとガラクトースという二種類の単糖が、α結合を介して結合したもで、ピロリ菌を殺菌または生育を抑制する効果があります。これまで合成が複雑で回収率が悪かった事から安価かつ簡便な製造方法が求められていました。
このたび、水中で脱水縮合剤と酵素を使った反応により、簡便かつ従来法に比べて格段に良い収率(50~60%)で調製することが可能になりました。
島津製作所 京都大学iPS細胞研究所と共同研究契約を締結 (2011/02/07)
株式会社島津製作所と京都大学iPS細胞研究所は、iPS細胞のリプロプログラミング状態あるいは分化状態の指標となるバイオマーカーの探索を目的とした共同研究契約を締結しました。
本研究では、同社の強みである質量分析装置を用いたプロテオーム解析を行い、iPSのバイオマーカーの探索・同定を行います。
アステラス製薬 オーストラリアに医薬品販売子会社を設立 (2011/02/07)
アステラス製薬株式会社は、オーストラリアに医薬品販売子会社を設立したと発表しました。
オーストラリアの医薬品市場は世界で13位、アジアオセアニア地域では日本、中国、インドに次ぐ、4位の市場規模を誇ります。
武田薬品工業 抗体薬専門の治験原薬棟を山口県に建設 (2011/01/31)
武田薬品工業株式会社は、抗体医薬事業の強化を目的とし、抗体医薬治験原薬棟を山口県に建設し、1月27日付けで施行式を開催しました。
抗体医薬専門の製造・工業化研究施設は、同社において初めてのようです。
明治製菓 ドイツのフレゼニウスカービ社と抗ガン剤に関する戦略提携について (2011/01/31)
明治製菓は、抗がん剤の後発医薬を手がける、ドイツのフレゼニウスカービ社と、同社製品の日本国内における、独占販売契約を締結したと発表しました。
本提携は、明治製菓社の抗がん剤の後発医薬事業の本格参入と考えられます。
長瀬産業 理研ベンチャー企業と資本提携 核酸医薬・診断分野へ進出 (2011/01/28)
長瀬産業株式会社は、理研発ベンチャー、タグシクス・バイオ株式会社と資本・業務提携により、核酸医薬・診断分野への参入を発表しました。
核酸医薬は大きな可能性があると考えられていますが、まだ実用化には至っていません。核酸医薬の応用につながる、「人工塩基対システム」技術を有する同社との連携により、実用化をめざします。
京都大学・科学技術振興機構 細胞の生死を自在に制御できるスイッチ技術の開発を発表 (2011/01/24)
京都大学では、JST戦略的創造研究推進事業 国際共同研究事業の一環として、特定のタンパク質の発現に応答してRNAiを制御する事で、アポトーシス誘導タンパク質などの目的のタンパク質の発現を制御し、特定の細胞の生死をコントロールする技術を開発しました。
これまで、特定のタンパク質に発現に対して、目的のタンパク質の発現を抑制する「オフスイッチ」の開発がなされていましたが、今回の研究では、目的のタンパク質の発現を促進する「オンスイッチ」の開発に成功し、
オンとオフを組み合わせることで特定の細胞の生死を制御する事が可能になります。
今後、特定の細胞だけに薬を効かせ、副作用の少ない病気の治療方法などの応用へ期待がかかります。
免疫生物研究所 ガレクチン-3測定診断キット販売開始を発表 (2011/01/21)
抗体試薬を手掛ける株式会社免疫生物研究所は、米国のビージーメディシン社によりガレクチン-3モノクローナル抗体を用いたELISA 診断キットの販売を開始したと発表しました。
同診断キットは、慢性心不全と診断された患者の予後を評価するために用いられます。
米国PPD社 合弁会社を設立 (2011/01/18)
医薬品の受託開発を手がける米国PPD社は、Taijitu Biologics Limited社とドラッグデリバリー分野の拡張を狙った合弁会社「BioDuro Biologics」の設立を発表しました。
ヤクルト 乳酸菌の継続飲用でスポーツ選手の風邪予防を確認 (2011/01/14)
株式会社ヤクルト本社は、「ラクトバチルス カゼイ シロタ株」を含む乳酸菌飲料を継続して飲用することで、スポーツ選手の風邪予防効果を確認しました。
被験者数は84名で、免疫パラメーターである唾液中のIgA抗体濃度について、非飲料者群に対して優位に濃度が高かったとの事です。
独立行政法人医薬基盤研究所 iPS細胞の肝細胞への効率的な分化誘導に成功 (2011/01/11)
独立行政法人医薬基盤研究所は、創薬応用に重要とされる、iPS細胞の肝細胞への効率的な分化誘導に成功したと発表しました。今後実用化を目指し、株式会社リプロセルと共同研究開発を行うようです。
武田薬品工業 米国の病院・研究所と肥満症を対象とした共同研究契約を締結 (2011/01/06)
武田薬品工業は、米国のフロリダ病院とサンフォード・バーナム医学研究所と、肥満症を対象とした新規治療法の評価を目的とした共同研究契約を締結したと発表しました。契約は2年間です。
創薬ターゲットとバイオマーカーの特定・評価などを行い、米国で深刻な肥満症に対する治療法の開発に取り組みます。
理研 遺伝子解析受託サービスGeNAS ISO9001認証を取得 (2011/01/05)
独立行政法人理化学研究所オミックス基盤研究領域が展開する遺伝子解析受託事業(GeNAS)は、ISO9001認証を取得したと発表しました。
次世代シーケンサーを用いた遺伝子解析事業分野でのISO認証は国内初のようです。
東北大学 薬による「二日酔い」のメカニズムを解明 (2010/12/21)
東北大学は薬による「二日酔い」のメカニズムを分子イメージングによる画像化により、世界で始めて解明したと発表しました。
「二日酔い」は、お酒を多く飲んだ時に、翌日の朝現れる、脳機能の低下した状態ですが、お酒(アルコール)だけではなく、OTC薬に含まれる鎮静性抗ヒスタミン薬を服用することでも同様の症状が現れることが知られていました。
本研究は、Journal of Clinical Psychopharmacology誌に掲載されています。
Journal of Clinical Psychopharmacology誌へのリンク
神戸大学 カネカと産学連携推進に関する協定締結を発表 (2010/12/20)
神戸大学と株式会社カネカは12月14日付けで、「包括的な産学連携推進に関する協定書」及び「包括連携企画に関する契約書」を締結しました。
今後、共同研究、受託研究などの企画・実施、人材育成、知的財産の活用、その他産学連携の推進を行い、特に阪神地域の連携に注力するようです。
タカラバイオ ナチュラルキラー細胞の高純度作製技術を開発 (2010/12/14)
タカラバイオ株式会社は、ナチュラルキラー細胞を90%以上という高純度で作製する技術を開発したと発表しました。
近年注目されているガン免疫細胞療法は、T細胞を用いた獲得免疫を利用したものが中心で、ナチュラルキラー細胞を利用したガン免疫細胞療法は、高純度のナチュラルキラー細胞を安定して得ることが難しい事から、普及があまり進んでいませんでした。
この度の新技術により、ガン治療の進展に役立つ事が期待されます。
武田薬品工業 ベルケイドとリツキシマブ併用の臨床第3相試験結果を発表 (2010/12/10)
武田薬品工業は、再発性・難治性の濾胞性リンパ腫を対象とした、ベルケイドとリツキシマブ併用群とリツキシマブ単独投与群の効果を比較した臨床第3相試験結果を発表しました。
その結果、ベルケイドとリツキシマブ併用群が優位に優れた効果を発揮したことがわかりました。
大塚製薬 体外診断薬 肺炎球菌キット 保険適用が了承 (2010/12/06)
大塚製薬株式会社は、イムノクロマト法による肺炎球菌体外診断薬、「ラピラン肺炎球菌」の保険適用が了承された事を発表しました。
今後、臨床現場において、簡単・迅速に行える診断方法として、役立つ事が期待されます。
武田薬品工業 細胞培養法によるインフルエンザワクチン製造のライセンス契約締結を発表 (2010/12/02)
武田薬品工業株式会社は、米国バクスター社が保有するヴェロ細胞培養インフルエンザワクチンに関する培養・製造技術について、日本における独占ライセンス契約を締結したと発表しました。
2013年度中に、本技術を使ったワクチン生産施設を稼働させる予定です。
雪国まいたけ まいたけの不溶性成分が便通改善を示す事を発表 (2010/12/01)
株式会社雪国まいたけは、まいたけの熱抽出物抽出後の成分(YM-11)に大量の不溶性食物繊維が含まれ、便通改善に効果を示す事を、日本食物繊維学会・第15回学術集会で発表しました。
今後、特定保健用食品としての商品化が期待されます。
トランスジェニック 尿中サンプルを使った癌診断に関する中国でのライセンス契約を締結 (2010/11/26)
株式会社トランスジェニックと遼寧MEDI社は中国における、尿中サンプルを使用した、癌診断薬の開発を目的とした独占ライセンス契約を締結しました。
本技術は尿中のジアセチルスペルミンをマーカーとして癌を診断する方法です。ジアセチルスペルミンは汎用性の高い腫瘍マーカーとして知られており、患者に負担をかけず、また簡易に癌を早期診断できる方法として期待されています。
積水化学 Genzyme社を買収 検査薬事業部を強化 (2010/11/22)
積水化学工業株式会社は、検査薬事業を手がける米Genzymeの買収を発表しました。
現在、積水化学・積水メディカルでは、5つの重点領域(生化学、血液凝固、糖尿病、感染症、先端技術)を定め、事業展開を展開しています。一方、Genzyme社は生化学・糖尿病・感染症領域に強みがあり、買収により、これらの分野の強化を図ったと考えれらます。
バクスター 腹膜透析患者用の在宅療法支援についてセコム医療システムなどと協力を発表 (2010/11/15)
バクスター株式会社は、腹膜透析患者が在宅で円滑に腹膜透析療法をうけれるように、セコム医療システム株式会社などと協力して在宅療法を支援することを発表しました。
在宅治療は、高齢化が進むわが国において、仕事をしながらも治療を続けられる事から、ますます重要視されると考えられています。
シミック 応用医学研究所を子会社化 (2010/11/10)
シミック株式会社は、医薬品分析に特化した受託試験企業である株式会社応用医学研究所を株式交換により完全子会社化することを発表しました。
平成17年の改正薬事法施行により、製薬会社の製造工程のアウトソーシングが可能になり、製造受託市場は非常に拡大しており、このたびの子会社化は、成長する市場へのさらなる強化と考えられます。
免疫生物研究所 遺伝子組み換えカイコ2系統を開発 (2010/11/08)
免疫生物研究所は、群馬県蚕糸技術センターと共同研究を行い、抗体などの有効タンパク質を産生する遺伝子組み換えカイコを2系統開発しました。この研究成果を踏まえて、開発したカイコの実用飼育を「前橋遺伝子組換えカイコ飼育組合」(JA前橋市の養蚕農家6戸で組織)に委託することを発表しました。
このような組み換えカイコは、日本の新しい産業発展へつながると期待されています。
武田薬品工業 バイオベンチャー投資会社を改称 (2010/11/05)
武田アメリカ・ホールディングス株式会社の100%子会社である、武田研究投資株式会社を「武田ベンチャー投資株式会社」へ改称し、また本社所管とし、バイオベンチャーへの投資活動を強化することを発表しました。
今後、再生医療、核酸医薬、ワクチン・抗体などに関する新規技術へのますますの投資が期待されます。
ロート製薬 眼精疲労用の内服薬を新発売 (2010/11/01)
ロート製薬株式会社は眼精疲労を緩和する内服薬「モアストレッチ錠」の発売を発表しました。
パソコンでの作業が多くなり、眼精疲労は身近な現代病の一つだと考えられますが、目薬などの対処方法以外に思いつくところがなく、内服薬の使用はあまり認知されていませんでした。
一方で眼精疲労で悩む方からは効果のある内服薬があれば飲んでみたいといういう要望が強く、朗報になることが期待されます。
チッソ セレンテラジン新規誘導体の本格販売を開始 (2010/10/28)
チッソ株式会社はこのたび、海洋性生物由来の発光基質「セレンテラジン」の新規誘導体を11月より本格発売することを発表しました。
セレンテラジンは、発光タンパク質「イクオリン」の発光基質です。イクオリンは医薬品開発の様々な用途で使われるのですが、発光時間が短かったりと改良が求められていました。
この度、発売される新規誘導体をイクオリンの発光基質に用いると、発光時間を7倍長くすることが可能になりました。
横河電機 ドイツ神経変性疾患センターと創薬支援システムを共同開発 (2010/10/26)
横川電機株式会社は、ドイツ神経変性疾患センターと創薬支援システムの共同開発を行う契約を締結したことを発表しました。
この度の契約では、ドイツ神経変性疾患センターの保有する創薬研究に関する経験と、横川電機の所有する創薬支援システム技術を連携させることで新薬開発の効率化を図ります。
武田薬品工業 ヒト・パピローマウィルス・ワクチンに関する独占的ライセンス契約を締結 (2010/10/19)
武田薬品工業株式会社と財団法人ヒューマンサイエンス振興財団は、理化学研究所在籍の神田忠仁先生が開発したヒト・パピローマウィルス・ワクチン(神田HPVワクチン)に関する特許の独占的ライセンス契約を締結したことを発表しました。
このたびライセンス契約が締結された神田HPVワクチンは、子宮頸がんを引き起こす可能性が高いとされる高リスク型HPV15種類すべてに、有効なワクチンになる可能性があるようです。
東北大学 遠隔医療システム「電子診療鞄」の実証実験を宮古島で開始 (2010/10/18)
東北大学は、加齢医学研究所の山家智之教授、サイバーサイエンスセンターの吉澤誠教授を中心に開発した遠隔医療システム「電子医療鞄」の実証実験を宮古島で開始した事を発表しました。
電子医療鞄はモバイル通信によりいつでもどこでも医療情報を提供できる遠隔医療システムで、看護師が患者宅に出向き、病院の医師に画像データなどを送る事により医師からの指示をうける事ができます。
また、離島の医師では判断できない場合、そのデータを本土を送り、専門医の助言をうける事が可能となります。
わが国における離島での医療不足は課題とされており、このようなシステムにより離島の患者にも本土のレベルにより近い医療を提供できるようになることが期待されます。
ニプロ 中国において合弁会社を設立 (2010/10/08)
ニプロ株式会社は、中国四川省において医薬用アンプル・管瓶の製造・販売を行う合弁会社の設立を発表しました。
成長する中国市場を狙い、さらに製造コストの低減を図るものだと考えられます。
東レ・新日本科学 DNAチップシステムを共同で新開発 (2010/10/06)
東レ株式会社と株式会社新日本科学は、カニクイザルの薬物代謝酵素遺伝子であるcytochrome P450の発現を一括して解析するDNAチップシステムの共同開発に成功しました。
これは、東レの保有する「3D-Gene」技術を応用して作成した超高感度DNAチップと、新日本科学が保有するカニクイザルの遺伝子情報を組み合わたもので、新薬開発(特に前臨床試験)において良いツールとして期待されます。
双日 2010年より海外における後発医薬品(ジェネリック)製剤化事業を開始 (2010/10/05)
双日株式会社は2010年より海外における後発医薬品(ジェネリック)製剤化事業を開始すると発表しました。
双日は以前より特にジェネリック事業に力をいれていましたが、2005年の薬事法改正以前は、原料の製剤化は国内に限られていたため、海外での原料から製剤化までの一連の事業が行えませんでした。
このたびの発表は2005年の法改正をうけての事業の展開だと考えられます。
アスクレップ 中国に現地法人の設立を発表 (2010/10/01)
CRO事業を手掛ける株式会社アスクレップは、中国において事業を展開するため、現地法人の設立を発表しました。
中国での医薬品市場は2億円を超え、CRO事業の需要の増加を見込んでの進出だと考えられます。
武田薬品工業 逆流性食道炎治療剤「Dexilant」の販売をカナダで開始 (2010/09/29)
武田薬品工業株式会社の子会社、武田カナダ株式会社は、逆流性食道炎治療剤「Dexilant」の販売をカナダで開始することを発表しました。
「Dexilant」は1日1回経口投与により使用されるプロトンポンプ阻害剤で、同社独自の技術である、デュアル・ディレイド・リリース(Dual Delayed Release)技術が使われています。
薬剤が2段階で放出されるため、薬効を長時間持続させることができるという特徴があります。