理研 ストレス応答性の高度好熱菌新規転写因子を発見 構造解明 (2008/08/29)
理研が進めている「高度好熱菌丸ごと一匹プロジェクト」の新たな成果として、サーマス・サーモフィラスHB8株の定常期特異的に発現が亢進するタンパク質であるSdrPを発見しました。このSdrPの結晶構造を解明し、SdrPがDNA結合能を持つ転写因子であることが明らかにされ、またSdrPが結合する遺伝子の領域が実験により同定されています。
SdrPは定常期に発現が上昇し、飢餓や酸化ストレスなど定常期特異的なストレス環境に応答すべく酸化還元反応の調節やエネルギー代謝といった生命活動に関わる転写制御を行っているのだろうと推測されています。
尚、今回の成果は『Molecular Microbiology』(8月28日付けオンライン版)に掲載されます。
生化学工業 抗関節リウマチ剤「SI-615」第I相臨床試験開始 (2008/08/18)
生化学工業は、抗関節リウマチ剤「SI-615」の、日本における第I相臨床試験を開始することを発表しました。
「SI-615」はアデノシンA3受容体アゴニストの一種で、炎症に関与する細胞内情報伝達や、炎症性サイトカインの産生を抑制する作用が考えられていて、抗関節リウマチ剤としての効果が期待されています。
理研 2型糖尿病関連遺伝子KCNQ1を同定 (2008/08/18)
理研ゲノム医科学研究センターでは、5000人以上の2型糖尿病患者サンプルとコントロール群のサンプルの比較を行い、2型糖尿病に関連すると思われるKCNQ1のSNPを突き止めることに成功したと発表しました。KCNQ1遺伝子は心筋中で発現することが既に知られていましたが、糖尿病との関連性については今回まで全く知られていませんでした。今回発見されたSNPを持つ人は持たない人の1.3~1.4倍程度2型糖尿病発症のリスクが増加し、日本人2型糖尿病の2割の人の発症に関わっていることが示唆されています。
本研究成果は『Nature Genetics』オンライン版(8月17日付け:日本時間8月18日)に掲載予定とのことです。
中外製薬 「アクテムラ®」の関節リウマチへの適用承認へ (2008/08/06)
中外製薬およびロシュ社は、関節リウマチを適応症としたヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体「アクテムラ®」(一般名:トシリズマブ)について、米国のFDA諮問委員会において承認を推奨する旨の決定が採択されたことを発表しました。
関節リウマチなどの自己免疫疾患では、サイトカインの一種であるIL-6が過剰に産生されていますが、抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体製剤である「アクテムラ®」は、IL-6とIL-6レセプターの結合を競合的に阻害することにより、薬効を発揮します。
なお、日本国内ではキャッスルマン病、関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)および多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎、全身型若年性特発性関節炎への適用が既に承認されています。
JAMSTEC メタン生成古細菌の122℃での培養に成功 (2008/08/04)
JAMSTEC(独立行政法人海洋研究開発機構)は、インド洋の深海熱水環境から分離された超好熱メタン菌を、新しく開発した装置を用いた高圧培養方法により122℃というこれまで記録された最高の温度での培養に成功したことを発表しました。
また、この単離菌の高圧培養中に生成された微生物由来のメタンは、13Cに富んでおりこれまでの生物由来メタンの定説を覆す結果も同時に報告されています。
今回の成果により、今後さらに原始環境中での生命進化の過程が明らかにする研究や、現在の地球上での物質循環に海底の極限環境生命圏の古細菌が及ぼす影響についての詳細な研究が進展することが期待されます。
これら成果は7月28日にPNASオンライン版に掲載されます。
JAMSTEC・京都大 クロロフィルdの広範な分布を証明 (2008/08/04)
JAMSTEC(独立行政法人海洋研究開発機構)と京都大学のグループは、これまで海洋の限られた領域にのみ生息する生物が有すると考えらてきた「新しいクロロフィル」であるクロロフィルdが、実際には地球上の広い範囲に普遍的に存在する可能性があることを発表しました。
クロロフィルdは1996年に京都大の宮下英明准教授によってホヤに共生するシアノバクテリアの一種から発見され、その限られた生育環境の特徴から、地球生命圏の物質循環における役割はかなり低いものだろうと推測されていました。
しかし、今回の発見はこの推測を覆すものであり、クロロフィルdがほかのクロロフィル類が利用できない波長域の光線を利用して光合成を行い、地球全体の物質循環に大きく貢献していることを明らかにしました。
なお、この結果は、8月1日(米国東部時間)に米国科学誌Scienceに掲載されるようです。