JST 汚染土壌を浄化する植物の開発に成功 (2009/05/30)
JSTは独創的シーズ展開事業・委託開発の開発課題ひとつである「新規育種植物による土壌汚染浄化技術」により、土壌から高効率でカドミウムを処理できる植物の開発に成功しました。
従来、汚染土壌の処理方法としては、掘削搬出・洗浄除去の物理化学的な方法が多く用いられていましたが、コストが高く、環境面での安全性も高くありませんでした。
このたび開発された植物は、従来の1.5倍から2倍のカドミウム吸収処理能力を持っており、安価で安全に汚染土壌をオンサイトで処理することが可能になり、産業上の利用へが期待されています。
生理学研究所 魚の逃避行動は脊髄で選択されていることを解明 (2009/05/28)
自然科学研究機構生理学研究所では、GFP遺伝子を組み込んで神経細胞を光らせた熱帯魚を用いて、熱帯魚が襲われたときなどの緊急時の脊髄の神経回路を解析しました。
その解析によると、脳は「右に逃げろ」「左に逃げろ」という相反する指令を出していますが、脊髄のCoLo細胞において、先に到着した指令のみを取捨選択していることが明らかとなりました。
本研究は、5月27日のJ. Neurosci.誌に掲載されています。
三洋電機 HIT太陽電池で高変換効率を達成 (2009/05/27)
三洋電機は、実用サイズのHIT太陽電池で世界最高の23%の変換効率を達成したことを発表しました。
HIT(Heterojunction with Intrinsic Thin layer)太陽電池は、単結晶シリコン基板表面にアモルファスシリコン層を積層したハイブリッド型構造で、三洋電機が独自に開発したものです。この度、①単結晶シリコンとアモルファスシリコンのヘテロ接合を高品質化することで再結合損失を低減、②アモルファスシリコン層・透明導電膜層の改良により光吸収損失を低減、③材料の改良や印刷技術の開発によりグリッド電極中の抵抗損失を低減することで、高い変換効率が達成可能となりました。
今後の量産化へ向けて、この研究成果が応用されることが期待されています。
大正製薬 ミノキシジル5%の育毛剤発売を発表 (2009/05/22)
大正製薬は以前から、同社より発売されていたリアップよりも、5倍のミノキシジルを含有する、リアップX5を2009年6月1日に発売を開始することを、同社のホームページ上で発表しました。
1%ミノキシジル含有のリアップは、1999年から発売されていましたが、欧米などですでに発売されていた、5%ミノキシジル含有の製品は、日本では販売されていませんでした。
同社が行った、1%含有製品と5%含有製品の発毛効果を比較した臨床試験にて、5%製品の方が発毛効果があることが確認されています。
東京大学 C型肝炎類似ウィルスによるウィルス複製制御機構を解析 (2009/05/15)
東京大学大学院農学生命研究科では、C型肝炎ウィルス類似ウィルスである牛ウィルス性下痢ウィルス(BVDV)
の複製メカニズムに関する研究が行われています。研究結果によると、BVDVの非構造たんぱく質(NS3)が寄生主のスフィンゴシンキナーゼの活性を抑えることで、効率的にウィルスの複製がなされているということが示唆されました。
ウィルスは複製時に寄生主に対してさまざまな因子と相互作用を行いますが、その詳細はほとんどわかっていません。この度の発表により、ウィルスの複製メカニズムを解明する一助になり、また、他の病原性ウィルス(特に近縁のC型肝炎ウィルスなど)の複製メカニズムの解明につながることが期待されます。
農業生物資源研究所 タバコの病害ウィルスが同じナス科のトマトに感染しない原因を解明 (2009/05/12)
農業生物資源研究所は、タバコマイルドグリーンモザイクウィルスというタバコの病害ウィルスが同じナス科のトマトには感染しない原因を解明しました。
これまで、植物のウィルスは決まった種類にしか感染しないということが知られていましたが、その理由は不明でした。このたびの研究結果では、トマトのtm-1というタンパク質がトマトの体内でウィルスの増殖を抑制しているということを明らかにし、植物が外来種のウィルスの感染をどのように防いでいるかを知る手がかりをつかむことができました。
ウィルスの増殖を抑制するタンパク質の特定は、生物学的な現象の解明だけではなく、ウィルス抵抗性の作物を創出する可能性にもつながるため、産業上の応用への期待がかかります。
理化学研究所 移植片対宿主病を制御する樹状細胞をマウスで発見 (2009/05/08)
理化学研究所は移植片対宿主病(GVHD:Graft Versus Host Disease)を制御する樹状細胞をマウスで初めて発見したと発表しました。
移植片対宿主病は、白血病などの治療などで、造血幹細胞が移植される際、ドナーの免疫細胞であるT細胞が、レシピエントの細胞を攻撃してしまうことから生じる病気です。場合によってはそれが原因で死亡につながることもあり、有効な治療方法が期待されています。
この度マウスで発見された内在性制御性樹状細胞は、ドナーのT細胞の活性を抑える働きがあることがわかり、マウスを使った実験にて、骨髄移植を行った際、移植片対宿主病に対して有効な治療方法になることが示唆されました。
今後、ヒトにおいてもこのような樹状細胞の発見が期待され、移植片対宿主病の治療に役立てる事が期待されます。本研究成果は、「Blood」オンライン版に掲載されています。
東京大学 悪性リンパ腫の発症原因を解明 (2009/05/07)
東京大学医学部附属病院の小川誠司特任准教授らは、SNPアレイを用いた悪性リンパ腫ゲノムの網羅的解析により、悪性リンパ腫の発症原因の一因としてA20遺伝子の異常が関与していることを突き止めました。
A20タンパク質は炎症シグナルを抑制する酵素として知られており、炎症反応に伴う刺激によってリンパ球の増殖を促進するNF-κBの活性化を抑制する働きを有しています。A20遺伝子の異常により、A20タンパク質の機能が失われることで、B細胞が外界からの刺激に対して過剰に反応して増殖し、リンパ腫を形成することが推定されます。
今後、悪性リンパ腫以外の種々の癌に対しても、炎症と癌を結びつける分子メカニズムの解明が期待されています。本研究成果は5月3日の「Nature」オンライン版に掲載されています。
東京理科大学 炭素同位体に由来する不斉制御の可能性を示唆 (2009/05/07)
東京理科大学の硤合憲三教授らは、不斉自己触媒反応を用いて炭素12/炭素13という炭素同位体に由来する微少なキラリティーが不斉反応を制御する可能性を示しました。
地球上に存在する有機化合物中の炭素原子は、約98.89%の炭素12と約1.11%の炭素13から構成されていますが、これらの炭素同位体による不斉はごく僅かなもので、従来は不斉源として認識されていませんでした。今回、ピリミジン-5-カルバルデヒドとジイソプロピル亜鉛を用いた不斉自己触媒反応を行うことで、炭素12/炭素13という炭素同位体に由来する微少なキラリティーを認識・増幅させ、炭素同位体に由来するキラリティーに対応した反応生成物を高い鏡像体過剰率で得られることを示したものです。
この研究成果は、4月24日の「Science」誌に掲載されています。